響—HIBIKI—

監督:月川翔 脚本:西川征史 原作:柳本光晴
先日6年ぶりに綾野君の映画を見にいって、義母ムスの録画だって見終わってないのになぜ私はこれを見にいったんでしょうか。なんかいろんな人に申し訳ない気分w。
原作は4巻くらいまで読んでて、ぶっちゃけ絵の下手さにひきつつ、本音を吐けば面白い面白くない以前に不愉快なはなしだと思ってる。んだってさ。あんなに共感能力のない子の書くものが面白いと思えないじゃん。響(平手友梨奈)がわかんないって言ってることなんか、古今東西いろんな本に書いてあるよ。
それでも気になってしまったのは、ぶっちゃけ「響に平手って……ハマリ過ぎやん」と思ったことと、編集者ふみちゃんを北川景子がやると聞いたから。おぐりんは直前まで鬼島(北村有起哉のやった役)をやるんだと思ってた。いやおぐりんのポジションで、ああいう認められないことに絶望する人物をリアルに演じられるってすごいと思う。
んでまあ面白かったかといえば面白くはなかった。なんで面白くなかったかというと、登場人物が響の暴走に振り回されるはなしなのは原作通りでも、原作にある周囲の小説家たちのはなしがなんもないから、そこで描かれていた「書く理由」が響自身にとって含めてこの映画にはまるでないこととか、ストーリーラインを凛夏(アヤカ・ウィルソン)の嫉妬に絞ったわりに、そのはなしは授賞式の前に片付いちゃうから、終盤が響にとってさほど意味のない授賞式に終始しちゃって、あまり接点のない山本(小栗旬)とのとってつけたような良いシーンで終わらせてるな、としか見えなかったから。
ただつまらなかったかというとそうでもないのは、ともかく平手が響にずっぱまりで、原作だと鼻につく(いや映画でも充分鼻につくけどw)響の独善っぷりが子供の中二病だと分かりやすかったこと、ストーリーの大半を占める凛夏と響のはなしが、アヤカ・ウィルソンの好演で好ましく見えたこと……とかかなあ。
結局このはなしって、読む方が響をどう思うかってはなしでしかないんだけど、「とんでもないけど響ならありだ」と思う響像を、平手がちゃんと描き出したことにつきるんじゃないかな。だから私はこの映画のことを聞かれたら「あんま面白くないよ」と答えるけど、「無理して見にいったのに」とか「金返せ」とは思ってない。「面白い映画の棚」と「ゴミの棚」があれば、「面白い」の棚に入れると思う。
映画に限らず創作物ってそういうもんで、よくできているとはとうていいえなくても、この一点だけで私には宝物、ってことが普通にあるもんだと思うしね。
だからその気持ちを理解しない響が私は嫌い。でもそういうことを理解しない人間を描ける平手やっぱ好きv、とは思ってる。
DVDは買わないけど見て良かったとは思うよ。