今さら響鬼。

Matuokaさんのところから飛べる座談会(http://d.hatena.ne.jp/matuoka/20060221)を見てたらいろいろ考えたので、今さらですが響鬼について。
つーか響鬼は1クールが完璧って意見ってよく見るけど、私は全然そうは思えないんよな。バケモンに襲われた後で進路相談する中学生とか、今から山まで会いにいけと言わんばかりに詳細な順路を中学生に説明する日菜佳のアホっぷりとか、どこがリアルなのか分かんないのですもん。
ただ「子供向けの特撮にいちいち目くじら立ててどーする」というポジションで見れば、十分過ぎるくらいに面白い番組だったわけですが。
そういえば“リアルな描写”の代表とされた移動の描写はそんな意図だと思ったことなくて、これとかDAの探索風景とかはわざとヒーローもの的なスピード感を排除して、ゆっくりものを考えるペースを作っているんだと思ってました。
番組全体のリズムって存外大事なもんで、そういうゆっくりなリズムになじんで見れば、序盤の響鬼のゆったりペースもそう気になるもんではなかったのですよ。

今となっては確認の術もないんですが、響鬼は当初「弟子入りした明日夢が最終的には違う道に進むべく弟子を辞める」はなしになるはずだったんじゃないかと思うのです。元々高寺氏はクウガ最終回で「戦いを終えた五代の心に大きな傷を残す」という形のヒーロー否定をした人なので、そういう最終回は十分考えられるかと。
ただこのパターンだと明日夢が挫折したように見えかねないわけで、明日夢の弟子入りがなくなったのって、結局そこが理由なんじゃって思うんですね。
あきらが弟子を辞めた時によく見た意見ですが、「目指した道をあきらめるのは可哀想」ってやつ。
「その道を目指すことが自分にとって最善でないなら、あきらめることも一つの成長」だというのは真理だと思うし、番組内でもそう描写されていたと思うのですがそう思えない人は多かったってことだし、高寺氏にとってもそうだったのかなあ、と。その辺は本人の口から弟子入りを辞めた理由を語って欲しいもんですが。

ぶっちゃけ、序盤の響鬼をほめようと思ったら「面白かった」としか言い様がないんです。
危険な仕事に携わるかっこいいおにいさんたちが手強い敵に立ち向かう中で、師弟の強い絆だとか仕事への強い誇りが描かれれば、そういうの嫌いじゃなければ面白いと思うでしょ?
もともとずっと昔からあった仕事なのだから敵との決着をつける必要もないし、ストーリーに通した筋は明日夢響鬼の交流を通した明日夢の成長において、鬼と魔化魍の戦いに関しては2話完結のオムニバスストーリーで良かったと思うんですね。
もちろん轟鬼威吹鬼たちメインキャラの成長も含めて。
響鬼はその辺が曖昧で、全体のストーリーがある平成ライダー路線を中途半端に引きずってるくせに、魔化魍を生み出す敵の存在を場当たり的にリセットして色々出したり、明日夢の盲腸とか努とか意味不明のエピソードを連発したことで、「実は収拾が付かなくなってきた」ことが視聴者にばれるようなやり方をしてきたことがまずかったのだと思うのですよ。
明日夢を弟子にしないならしないで明日夢パートは明日夢パートと開き直って、太鼓とホイッスルの時のように「本質的な部分ではシンクロしている」という見せ方をしても、一人の高校生としての問題にちゃんと真摯に取り組んでいるように見えれば、それなりに納まったはずなのに。

響鬼の主人公が明日夢だったこと自体は別に良かったと思うんですね。
問題は、明日夢の置かれた状況が普通の高校生としてもヤワヤワで、他人が思い入れて見られるもんじゃなかったってことで。
あのままでは明日夢は29話で第一歩、最終回でもう一歩?って感じになったと思うし、そんな一年もかかって二歩しか歩かないんですか、みたいな。
その中で視聴者が納得するような成長をさせた後半体制は頑張ったと思うし、一気に成長しようと思えば登場人物がつらい目にあうのも仕方ありませんさ。

高寺体制のままで続いても、私自身は最後までそれなり楽しめたと思います。ザンキさんもイブキも童子姫も好きだったし。
ただ視聴モチはサザエさんレベルの「習慣だから」程度のものになったと思うからきっかけがあればリタイアしたと思うし、私みたいな役者萌えで見てる人以外だと、リタイア組も当然出たでしょうね。
平成ライダー路線に戻ってしまった」と叩かれた白倉響鬼は、「日曜朝の習慣だからライダー見たかったけど、我慢できないから響鬼は見なかった」層は確実に呼び戻したんだと思うんです。
それがあっての視聴率持ち直しだったのかと。

響鬼って、見せ方がまずかっただけで当初の狙いがまずかったわけではないと思うんですね。
それこそライダー枠さえあれば、今回の問題点を踏まえた響鬼フォロワーの響鬼路線ライダーもあり得ると思いますよ。
ずいぶん先にはなるでしょうけどw。