繋がれた明日/第4話「償い」

なんかやっぱ中道君ってちょっと馬鹿。
仮釈取り消されて戻ることになったら、また妹やおかーさんがなんか言われるじゃん。
……と思う心が感動に水を差す最終回。
ラストシーンのための展開って気がしちゃって萎えたのは、やっぱドラマと割り切るにはテーマが重すぎるからだろうな。

主役の青木君は好演だったと思うけどやっぱ書き込みが足りなかったというか、気持ちを話す場面があまりにもなかったから気持ちが場当たり的な印象を受けた。
そりゃあね。塀の中に戻る前に元の彼女に会いたいとか、偽証した被害者の友人に会いたいとかいう気持ちは理屈じゃなくて、他人に説明できるもんじゃないと思うんだ。
それでもシゲキに話していることだけは本心だろうとか、そういう基準になるような人間関係が描けていなかったのは致命的で、「なに考えてるか分かんない。なにかっこつけてんの?」という感想が残ったというのが正直なところ。
意図したものかどうかは分からないけど、中道がかっこつけなのは確かだと思う。
だから自分の彼女に言い寄る男とはなしをつけるのにしゃしゃり出て自分より喧嘩慣れした相手と会うのにナイフ持っていったり、責められた勢いで不必要に反省した気になってしまう。
なんの反省もしないよりはずっとマシな加害者の態度なのは確かだけど。

見続けた中で3話が突出して面白かったのは、そこまでの展開を踏まえて希望が見えてきたところで起こった事件の後で、迷う主人公が自分なりの答えを見つけるという展開が無理なかったからだと思う。
比べるとやっぱり最終回は、出頭すると言いながら逃げ回る中道の行動が納得いかなかったり、星野と会った後の気持ちが分からなかったり。
個人的には、仮釈取り消されて戻る気満々だけど戻されなくってあーあ。
でも三上の母には責められて贖罪の決意表明、くらいの展開の方が無理なく見れたかな。
でもそんなこと言ってると先日のエントリはなんだってはなしになる。自縄自縛ですねw。

こういう複雑な気持ちを描くには、やはりドラマより小説のようなものの方が合っていると思った。
でも例えば11回とか使うと中途半端に間延びして、描写が予定調和になると思う。
全4話で視聴者が足りない分を補う、くらいでちょうど良かったんじゃないかな。
傑作とは思わないけど良品だった。

あ。吾郎くんが実はどういう子だったのかは、言葉だけで良いから描写が欲しかった。
ほんとにろくでなしだけど親だから悲しいのか、ろくでもないなりにいなくなられるのはつらいような子だったのか。
もちろんろくでなしだから殺して良いってことにはならないんだけど、中道が吾郎が「どんな人だったか」を認識するところは見たかった。
正直刺された後の中道はあまりに聖人過ぎて、かえって薄っぺらく見えてしまった。

それでも弓削君や松田さんの出演をきっかけに、このドラマをちゃんと見れたことはラッキーだったと思う。
良いドラマでした。