仮面ライダーカブト/第22話「誕生特別編」

加賀美に限らずカブトのキャラ全体の特徴であると同時に「Sh15uya」や「サヴァイブ」を思えば米ちゃんの特徴でもあるのかなと思うけど、カブトってストーリーが進んで経験を積んだからこれができるようになる、みたいなある意味ゲーム的な従来のヒーローもの展開をしないんだよね。主役の天道が平成ライダーには珍しく人格の完成したキャラだからというのもあるだろうけど、成長の可能性がありありな加賀美ですらこうなんだから、もうこれは作風と言って良いだろう。
ちなみに私はストーリーの大枠を決めるのはシリーズ構成とか東映特撮の場合メインPの仕事であるという情報は得た上で、作風に脚本家の色が濃く出るのは当然だろう派です。求められたことが全部できれば苦労はないし、第一それでは脚本家がいる意味がない。大枠はあってもその中に入れる要素や表現法に脚本家の色が出るのは当然だし、それをチョイスするのもPの仕事だと思うので。
というところで22話ガタック誕生編。なかなかカブトっぽいおはなしでした。

アヴァン部分で影ちゃんザビーの指揮のもと、工場の殲滅を図るシャドウに伝えられる作戦中止命令。「おまえには無理」っていうのは実に真理だ。命拾いしたことをまーくんに感謝した方が良いよ、影ちゃん。
つーかまーくんの影ちゃんあしらいとまんまとあしらわれる影ちゃんにハゲワラ。小者で下らない人間の影ちゃんですが、私はけっこう嫌いじゃない。つーか影ちゃんの不幸は矢車さんがザビーの資格を失ったとこからはじまってると思う。あれさえなければ腹の中はともかく、人格者の隊長の腰ぎんちゃくとして幸せにシャドウの任務を遂行できてただろうに。
サル貸し切りで開かれるぼっちゃまのお誕生会。予告のメイド見て「誰だこの不細工」と思ってたらひよりかよ! 
似合わねーーー。
うーん。ひよりの顔って個人的にすごい好きなんだけど、こういう遊びには似合わないと思うなあ。まあ今回はストーリー上必要な遊びだったんだから仕方ないけど。つーかなんでこんな遊びが必要になるんだ。なんか間違ってないか。
サルのシーンはおかしかったよ。先週の食い逃げは今週貸し切るつもりの“つけ”と判断すべきだよね。その支払いがフォークなのはお笑いだけど、メニューが近所のスーパーで食材を調達した肉じゃがという、天道にただで食わせてる賄いレベルなんだから良いんじゃないかという気が個人的にした。しかし剣の年齢設定は、ほんと17〜8才とかで良かったと思う。米ちゃんになってから無邪気キャラになってるせいでよけい20才過ぎてることに違和感が。

序盤で資格を得られなかったことに落ち込む加賀美の今日の行動は、すべてが見せ場ではあったがあまり彼を好意的に見れない私には空回り感は否めませなんだよ。結果オーライとはいえ、悪く出たらどうする気だったんだ?
マコトの正体はやっぱりワーム。ここで普通のヒーローものならマコトに助けを求められても「おまえはマコトくんじゃない!」とワームを倒して4話の落とし前をつけるのだろうに、天井に穴あけるんですか。
加賀美の気持ちを知ったマコトの演技はGJだったけど、人の姿が重なるのは映像表現であってそう見えるわけじゃないと思ってたけど違うのか? あれ、加賀美にはどこまで伝わったんだろう。まあ爆発から加賀美をかばったのがすべての答えといえばそうなんだけど。
加賀美をたきつける田所さんとかパパの涙ながらの演奏とか見せ場は多かったんだけど、ガタックのベルトを持ってきたのがパパの指示だとして加賀美が資格を得たと信じた根拠はなんだったんだとか、そういうところでいろいろごまかされた気がするのは否めない。
序盤で得られなかった資格を最後に得たとかは別に良いんだ。資格がゼクターの気まぐれなのは何度も描写はあったし、結局手に入れるという気合いが肝心なんだと思う。でも今回の加賀美がその気合いを手に入れた根拠はなんだろうと思った時に、うーん。個人的にはサルのシーンを削っても天道とのエピが欲しかったなあ。きっと劇場版とのかねあいで今週は天道と加賀美のシーンを撮ることができなかったのだろうけど、加賀美の転機にはいつも天道が関わってきたし、いっそガタックのベルトを天道に託しちゃうとかさあ。

んでこのはなしがカブトっぽいっていうのは、カブトって「こういうことがあったからこうなりました」というよりも、「この人はこういう人だからこう動きます」みたいなエピが多いんだよね。ヒーローの成長がはなしの主軸になってる東映特撮では特に「あれ? こないだはああ言ってたのになんで?」みたいになりがちだけど(天道と和解して別れた矢車さんの再登場みたいに)、実際人間の成長って一個の経験で縦にピコピコピコってなるわけじゃなく、じんわり人格に浸透するもんだからそう劇的にかわるもんじゃないと思うんだ。そういう意味で今日の加賀美は、亮を殺せなかった時や天道のためにザビーの資格を捨てた時からまるで成長してないようにも見えるけど、自分が未熟だからこうなわけじゃなく自分は自分としてできるようにやるんだ、というのはやっぱ成長だとは思うしそういうのは嫌いじゃないんだけど、やっぱ爽快感が足りないなあ、と思っちゃうのはあるなあ。

加賀美が天井を破った後にマコトワームが攻撃するのとか、米ちゃんの描く悪役の心の機微みたいなのは個人的には面白いんだよね。でも見ていてそういう良いとこ悪いとこを、もうちょい自覚的に使ってもらえないと単純頭のおばちゃんにはつらいっすー、と思ってしまうの。なんかコンビニの前で座り込んでるおにーちゃんたちを見るジェネレーションギャップ的不快感というか、若造視点に見えるんだよ。そこまで若い人じゃなかったはずだけど。

戦闘シーンは人数も多くて盛り上がりましたが細かく考えてたら言いたいこと忘れたw。あ、最近指揮してるだけのことが多いザビーさんですが伊藤さんの華麗なアクションのためにももうちょい見せ場が欲しいっす。
サソードは剣がワームの気配を感じたら変身を解く、ってことはサソードの資格を持っているのは剣の“人格”であって剣じゃないってことか? それもまあワームになっても気にしないのか? サソードゼクター、ってはなしだけど面白いから良いや。
まあ小ネタは面白いけど勢いにかける番組ってことになるかなあ。好みと言えばそこまでなんだけどね。