根岸は本当にネイティブだったのか

もちろんネイティブだったのは分かってますが。

この前書いてたワームの知性についてはキャラブック「CLOCK UP」の中の設定解説に記述がありましたが、まだ腑に落ちないというより感想に近い部分ですけど、結局自分が化け物になった時に人はどうするものかってことですが。
普通に殺されてワームに擬態された場合はワームの中にオリジナルの記憶が残るだけでその意識はワームのものに過ぎないんでしょうけど、剣や設定解説に記述のあるような自分がワームであることに気付いていない個体や、影山のように人為的にネイティブにされた場合、本人の認識は当然「化け物になった」ですよね。
そこで「もう生きていられない」と思う影ちゃんのような人もいるでしょうけどたいていの場合は死にたくても死ねないんだろうし(w)、他人に知られないようにひっそり生きていこうとするのが一般的なんじゃないかと思うんですけど、納得いかない理由で我慢を強いられることは誰にとっても不愉快なことだろうし、その不快感を理不尽と感じるのは無理からぬことです。
しかも自分には人間にはできないことができる。だったら差別されることを恐れて小さくなっているより討って出て優位に立つ方が良い。それは非常に分かりやすい理屈です。
そういう意味で、人間は愚かだからみんなネイティブにしてしまえば良いのだという根岸の理屈は非常に“人間的”で分かりやすいんですよね。
加賀美の言葉で攻撃をやめるネイティブ化していたゼクトルーパーにしても、彼等が田所さんのように最初からネイティブだったんじゃないとしたら、ネイティブ化した時点で人間よりネイティブの方が高等だと丸め込まれたからこそ「ネイティブの心を忘れたのか」なのだろうけど、人から吹き込まれた「ネイティブの方が高等」という理屈に基づいた誇りなんか、どだい大したもんじゃないです。まあワームを忌み嫌っていた三島が自らネイティブ化するためにはかなり強引な理屈で自分を納得させる必要はあったでしょうけど、そんなのゼクトルは知ったこっちゃないですよね。
他人を脅して傀儡に立て、殺してその人に成り代わるようなネイティブが“人類と共存”なんてちゃんちゃらおかしいんですが、ラストでネイティブと人間が共存する世界が成立している以上根岸の人類総ネイティブ化計画はネイティブの総意じゃないんでしょうし、だとしたら根岸の計画は意図せず人外の化け物になった“人間”根岸の心の闇が生んだものなんじゃ、って気がするのです。