ハゲタカ

気になってたけどずっと見忘れててもう良いかと思ってたら、母親が録画していることが判明して放送終了時点でビデオ借用。政治経済には疎い私でも楽しめましたが、びっくりしたのは松田龍平
デビュー作「御法度」以来特に意識してないのに私が見る映画に重要な役で出ていることが多いこの人、実は役者としてまるで評価していませんでした。雰囲気だけはあるけど演技力は伊△美×と並んで評価云々以前の人だと思ってました。
……ちゃんと演技してるよ、この役(・・;。
その印象の違いがどこから来たのかと考えたんですが、設定としてリアリティのある世界のドラマを演じる場合、その世界観に添った生活臭って必要だと思うのですよ。そういうリアリティを省いて人気俳優のおしゃれなやりとりを書き割り的に見せるトレンディドラマと呼ばれるようなジャンルもあるのでしょうが、この人の場合は映画の仕事が多いこともあり、そういう虚構性の高いドラマとも違う、他の出演者がちゃんと世界に添ったリアリティを作り上げる中、そのリアリティを持たないことがなんとなく狂気の表現に見えなくもないかな、という役をもらってぽつねんと異彩を放っている、というのが今までの印象だったんですね。
このドラマの西野もなにを考えているか分からない体温の低そうな役なんですが、父親の経営手腕のなさがそもそもの原因とはいえ、父親や代々続いた旅館を失った青年を実にこの役らしく演じている。父の死の原因となった相手への、憧れと憎悪の混じった気持ちを“屈折”と呼ぶのは簡単だけど、家族を奪った相手だから憎いに決まっているというものでもない、それがストレートな憎悪にはならない人間というのはいるわけで、この役の松田龍平は、実にリアルにそういう存在感を作ってたと思う。
まあ企業買収のドラマを相手を撃つことで収束させるというのはかなりずるいやり方だと思いますが。
もっとも何百億という単位に膨れ上がった負債を抱えた会社の事業を好転させることなんかまともにやっても無理に決まっているわけで、芝野の葛藤ってほんとに意味あるの?、という気はしちゃったけどね。番組終わった時点でなんか収まってても、現実に建て直しなんかできるのかい、ってのはまあドラマ性ドラマ性、ってことか。
ヒロインの栗山千明もポジション的には松田龍平と似たような柄の人だと思いますが、この人を見てきれいだと思った役は初めてだったよ。
キャストにカブトの根岸(小林正寛)が出ていたり田中泯さんが出ていたり、熱くはないけどちゃんと体温を感じさせる人を集めて作ったドラマという感じでした。
面白かったよ。芝野は暑苦しかったけど(笑。