sexyvoice and robo

最終回見直してどうにも腑に落ちないのは、そもそもニコがなんで初対面の転校生にスカート丈とか靴下なんてどうでも良い助言をするなんてめんどくさいことをしたのかってことね。そんなの初対面でそんなこと言われたら普通にむっとするし(しない? 私はするよ)、それで他の生徒がなにか言い出したって、「前の学校じゃこんな感じだったから」ですんじゃうことでしょ? あの転校生がそんな言い訳するとは思わないけど。
実はニコのあのちょうど膝小僧の下で留まるハイソックスは私にとって、あまり細いとはいえない大後寿々花を制服でも私服でも最高に可愛くなく見せていて、ずっとそんなもんを周りから浮きたくないという理由で身に付けてたのかと思うとスタッフが意図した以上の痛々しさがあるんですが、#10までのニコと#11のニコであきらかに違うのって転校生白井さんの存在だと思うんだ。そしてニコが#11で呪文を唱えてやったことは、自分ではなく白井さんを守ること。ニコが自分を守ったっていうのは、みんなと一緒に白井さんを責める側に回る自己嫌悪に陥らないですんだってことだと思うんだね。三日坊主が唱えた呪文も、あれで阻止したことってたぶん自分を殺した男をとり殺しちゃうことで、それも憎しみで人を殺しちゃうような自分にならずにすんだってことでしょう? ニコが言った「ほんとうに三日坊主のしたかったこと」は恨みを晴らすことじゃなくて、思い出すことだったんだよね。
#1で描かれたニコの日常はコンビニと学校でできていて、ロボとの出会いはそれ以外の非日常だった。日常はあるのが当たり前のめんどくさくなければそれで良いもので、ニコにとってはロボとの非日常の方が魅力的だった。そこに現れた白井さんは、ニコにとって切り捨ててしまいたくない日常のしがらみで、ルミちゃんや三日坊主が見えなくなったのは、ニコにとって日常が大切なものになったからじゃない?
たぶんもうちょっとフィーチャリング白井さんな演出をすれば分かりやすかったと思うんだけど、ニコはたぶん白井さんを気に入ったんだと思うんだよね。むっちゃん辺りがハブられてもクラスメイトを敵に回して戦うニコとは思えないし。白井さんと話した後ルミちゃんが見えなくなったのは、ニコの望みは白井さんにクラスの中で傷付くような立場になって欲しくないってことで、白井さんにクラスのみんなに合わせて欲しいってことじゃないからでしょう? だから募金のシーンで自分はお金を入れた後で白井さんに強制するクラスメイトを止めた後、ニコを見て笑いかけた白井さんを見てニコは満足そうに笑うわけで、好みとしちゃ白井さんにはあの後ニコの顔を立てて募金して欲しかったよ。だってそれはどちらが正しいってことでもない、言ってみれば「どっちだって良いじゃん」ってことだもん。

今週のロボが最高に痛かったのは一海ちゃんとのデート中に絡まれてMAXロボのおもちゃを出すとこで、ロボってずっとおもちゃはおもちゃだってのは分かってたはずなんだよね。ニコに「MAXロボと一海ちゃんいっぺんになくした」と言われて「正義は死なない」っていう“正義じゃない”状態は自分のせいでMAXロボをバラバラにされちゃった状態で、ロボのよりどころはなにがあってもロボットアニメの立体おもちゃを愛してるってことで、それは生活の中で意味のあることじゃないことかも知れないけど大人だ子供だってはなしじゃないでしょう? そんなんでモラトリアムの烙印押されたら、うちらいい年して特撮の感想書いてるようなのはみんな大人失格じゃん。そりゃ外聞が良くないのは自覚してるけどさ。あとどうでも良いけど阿部亮平君はほんと日テレに気に入られてるな。

人間って大人と子供の二種類じゃなくて、誰でも大人なとこと子供なとこあるわけでしょ。それを自分基準でどっちかに決めつけるのって、実は一番子供っぽいんじゃないの、と思うわけです。

ごぼ蔵もお歯黒女もたぶんニコも、今は離れてて会わないだけでロボには友達なんだよね。ニコはロボに声をかけなかったけど、声をかければきっとロボは普通に友達として対処すると思うんだ。
「私を守れるのは私だけ」だけど、それは「だからあんたも自分のことは自分でやって」じゃなくって、「それでもあなたのためになにかしてあげたい」というのが人と繋がるってことだと思うし、「この世界で生きていけるほど強くなりたい」と思うのは、「この世界にはあなたがいるから」なんじゃないのかな?

なんてことを考えた最終回ですた。立てこもりの関係でO.Aがなかった#7がニコの家族とロボたちが接点を持つはなしだったらしいけど、それがなかったことが意外と全体の解釈に影響あったのかもなあ、と思ったりもする。
星は近付いたり遠ざかったりするから、やっぱりニコとロボも近付く未来はあるんじゃないのかな、とも思ったりするよ。