良太郎の距離感

最近のエントリに関して感じた良太郎ネタ。<またかw。

私が最近の良太郎を特にヤバイと思わないのは、良太郎の侑斗への態度が不当だと思わないからなんですね。だって侑斗の方で良太郎に喧嘩売ってるんだからさ。最初にミルクディッパーを訪ねてきた時のやりとりにしても、侑斗の本心は愛理とのシーンの表情で見せたような「名前を言えば思い出すかも」と期待する気持ち(=覚えていて欲しい、という気持ち)だとしても、その後の良太郎とのやりとりはその失望からくる感情もあったんだろうけど故意に良太郎を怒らせようとするものでしかない。良太郎にしたら自分の時の運行への関わり方に文句を言われるのはともかく、それには何の関係もない愛理のことを、愛理を知りもしない(侑斗は「自分の婚約者だから見ておきたかった」と言ってるんだから、愛理自身を知っているわけじゃないのはバラしてる)侑斗に悪く言われる筋合いはない。「失踪した恋人に関わる記憶をなくしてしまった」と聞いて「マジでー? おめでたいね。お手軽ーーー」なんて解釈をする人は普通いないんで(w)、侑斗がそんな解釈をするほどにデリカシーのない人間だとしても、良太郎への悪意故に無関係な愛理を貶める人間だとしても(初対面の印象で、良太郎が「こいつは僕を嫌っている」と感じたとしても無理はないw)、良太郎にすれば嫌いになるには十分だと思うんですね。嫌いな相手に嫌いだという態度を取る、それに対して侑斗寄りの人が「良太郎あんまりじゃない? むかつくーーー」という感想を持つのは仕方ないけど(というか、脚本の作り自体がそっちに寄っているのはどうかと思うの靖子にゃん(-_-;)、この関係の中で良太郎にいつもと同じ態度を取れって言うのも酷じゃないかい?と思うわけですよ。

もともと良太郎は属性として「優しい子」なだけで気が弱い子ですらないと思うんですね。初回テツオ編だけでも、いくら優しい子でも自分を恐喝するような不良グループには関わらないで落とし物なんかほうっておこうと思うのが普通だし、恐喝されることを見越して財布に名前のタグをつけておくなんて突っ込みどころ満載な真似は思い付いても怖くてできないわけで、むしろものごとに動じない子だと描写されてたんじゃないかと。その後のはなしの中で周りの人間に反論しそびれるシーンがあるとかも、高校生レベルの社会経験しかない良太郎が大人と渉りあう知恵はないというだけのはなしだと思うんです。時の運行に関わること辺りは、オーナーがけむに巻く感バリバリなのと、自分の時間が消滅したハナはそれを言いたくないんじゃないかと思いやる気持ちもあるだろうし。
一方で山越編冒頭ですでにモモへの扱いはけっこうきつかったし(勝手に体を使ったモモを問答無用で追い出している)、モモが良太郎のお金を勝手に使ったことにもはっきり文句言ってますしね。その後のはなしを見ても、タロズそれぞれの欠点は欠点として、人を見た接し方をしていると思うし。

リュータ登場編で「おねえちゃんは?」と聞かれた良太郎が「ねえさんは関係ないんだから巻き込まないで」と言ってるわけで、良太郎の基本方針って「関係ない人に迷惑かけない」だと思うんです。その辺は馬鹿っプル編で優美に言った「今日は特別運が悪いから一緒にいたら迷惑をかけそう」というのが考え方のベースにあるのかも知れませんが(w)、愛理の事情をタロズに話していなかったことにしても、良太郎にしたら「ねえさんのことはみんなには関係ないし」というそれだけのはなしだと思うんですね。その辺の解釈は私自身がそういう考え方をする人間だからかも知れませんが、モモが「ねえちゃんのことも全部言え」と言った時、「だって君関係ないやんw」と思ったんですよ(笑。良太郎にしたらタロズは一緒に戦う仲間だけど愛理の問題は自分のプライベート。無関係な人間に、自分の身内の過去なんかペラペラしゃべんないのは普通ですよね。もちろんモモにしたら関係ないなんてことはない、良太郎が愛理のことで悩むんだったら、一人で悩んでないで俺たちに言え、ってことで、あのはなしの「ごめん。それとありがとう」は「水臭くてごめん。心配してくれてありがとう」だと思うけど、まあ桜井失踪が時の運行に関わることなのはともかくとして、男女関係の機微をモモに聞いても仕方なさそうなことを考えたら、良太郎が愛理のことを黙っていたことに深い意味は最初からなかったですよね。一人で特訓していたことも、「言うのは恥ずかしかった」というのは本心だと思うし。

ハナはいつも「良太郎を守るのは私の役目」と言うんですが、別に良太郎の方は最初からそんなこと思ってないと思うんです。現実にハナの方がずっと強いのでしょっちゅう守られてるけど、良太郎の意識としては「僕が守らないといけないのに」(これは電王だからとかじゃなく、単に「男の僕が」って理屈ですよねたぶん)が本心で、別にハナに守ってもらおうとか思ってない。ハナは最初に良太郎に「一緒に戦おう」と言ってるわけで、山越編で良太郎がモモに言ったのは「モモタロスと一緒には戦わない」、キンタを受け入れた言葉も「一緒に戦えるよ」で、良太郎の基準は「信用できる相手なら、一緒に戦うことができる」だと思うんです。*1

その意味で、最初から受け入れイベントのないリュータは他とは違って(うやむやに受け入れる流れを書かなかったのは、結果的に良かったと思いますが)、まあ現状なら良太郎がリュータに「行くよ、リュウタロス」なんて流れはあり得ませんわな。リュータが素直に来るとも思えないしw。良太郎にとってリュータは不法侵入者でしかないわけで、良太郎が今週リュータに言ったことって、「特異点だから自分のイマジンは抑えないと」という責任の問題より、「リュータを抑えられるのは自分だけだから」って面があるんじゃないかと。
この辺り「うまいなあ」と感心したのは、良太郎の言葉になにか感じた風なリュータ(着ぐるみなのにw)を見せる一方で、モモの「こんなガキになに言っても無駄」と言わせることで「一緒に消えることになっても止める」という良太郎の決意は良太郎とリュータという当事者二人以外には額面どおりの重さはないことを台詞で見せている。
良太郎って、本心は関係ある人が知っていれば良いって子なんだと思うんです。だからモモの言葉にそれ以上なにか言いつのったりしないし、まして無関係な侑斗に対して、「自分はこうやって責任を果たします」なんて言ったりしない。

まあ確かに侑斗への態度はらしくないなとは思いますけど。
今週冒頭の良太郎がらしくないのは「なんで謝らないんだ」ってことより、「ハナさんを守るために変身してくれてありがとう」と思い付かないことかとねw。

*1:ウラの時ですら「ほんとは悪い人じゃない」と言っている。