魔王/#11(最終話)

泣いた。あり得ないくらい号泣した。
おにーちゃん死亡でおとうちゃんの芝居がある意味すべての発端だったんだけど、こういう地位も名誉もお金もある人って子供にお金だけ与えて、みたいな非難を浴びること多いけど、こういう人って人生賭けてそれが一番価値あるものだと信じて生きてきて、その価値あるものを自分の子に伝えたいだけなんだからそういうのが真の愛情じゃない、とかって違うと思うんだよね。芹沢のパパは誰もが幸せにはなれないのなら、自分の子供だけは誰かを踏みにじっても幸せになる側に回って欲しいと思っちゃっただけで、だけど絶対に踏みにじってはいけないものだってあるんだよ。
英雄の死が事故だったから間違えそうになるけど、本当に本当の発端は直人たちが山野をいじめてたことで、直人が山野を踏みにじってたことなんだよね。それでもそれがきっかけで起こった人の死になにも感じなかったわけじゃないけど、その時には非力なわが子を守るために芹沢のパパが戦う側に回ってしまって、友雄たちはもらえて当然の謝罪をもらうどころか肉親を失った悲しみすら踏みにじられてしまった。
葛西って殺されるほど悪いことしてないような気もするけど、なんか宗田とか葛西とかの死は、苦しまなかったことの代償かなって気はするよね。
まあそれ言ったらずっと苦しんでた成瀬とか直人とかなんで死なないといけないんだってはなしなんだけどさ。もう生田君グッジョブ! 超グッジョブ!
おにいちゃんの死からパパの死で、罪を償うために死んでも良いと思ってた直人が、戦う側に回る決意をせざるを得なくなったんだよね。そこで山野死亡はちょい「ざまあwwwwww」って感じだったけど、捜査本部のおねえちゃんの絶望の表情は一瞬だけどすげーグッジョブだったです。
成瀬と直人のシーンはもう生田君と大野君のお芝居を堪能するシーンだったんだけど、なんかもう、この二人がもう十分に苦しんでてお互いを憎んですらいない、なんてことは見てた方は分かってたわけじゃん? それでも復讐をやめようってはなしにならないのは、成瀬は自分が幸せになることを許せなかったんだと思うんだよね。それはおにーちゃんやパパに続いて葛西を失ったことでついに戦う側に回って山野を殺した直人もおんなじで、失われたものに対して自分が滅びる以外の選択肢が見当たらないんだけど、もはやお互いを憎んですらいない、相手を破滅させることすら選びあぐねてしまう二人の生が、山野の暴走ともみあいの末の事故で終わったのはむしろ救いだったのかなあ。
でもさー。成瀬先生が「とうに失うものはなかった」とか言ってたけど、成瀬にはしおりの愛情があったじゃん。生きてればいろんなもんが手に入るし、生きてる限りなんの希望も失うものもないなんてことないじゃん。
ほんとなぜそんなものに目を向けることができなかったんだろう、って思うけど、踏みにじられて顔も上げられなかったんだからしょうがなかったんだろうなー。
まあ法的にもストーリー的にもなかなかにトンデモで突っ込みどころは多いはなしでしたが、それ以上にキャストの演技を堪能させてもらえたので満足です。特に生田君はもともと達者な役者さんだと思ってた以上にすごかったです。正直この番組の緊張感を維持させたのは、かなり生田君の比重が大きかったと思います。
わざわざ見直すことはそんなにありませんでしたが、毎週放送を楽しみにして十二分に楽しませてもらいました。キャストもスタッフもご苦労様、ありがとうございました。