銭ゲバ/最終回

まさかのifネタで全編引っ張るの回。序盤からうっとうしいんで小屋に松明でも投げ込んでやろうかって感じだったが、ifの世界の風太郎が歩んだ絵に描いたような平凡で幸福な人生を現に歩んでいる人を見て「お金持ちは良いよね」と言う人はそんなにいないと思うけど、でもいないわけじゃないよね。言ったら「貧乏人の僻み」って言われるから言わないだけで。
風太郎の思う幸福な人生にすごい大金は最初から必要なくて、月末になるとベラの煮付けが出てくるようなレベルでも風太郎は十分幸せになれたんだけど、現にお金がないせいでおかあさんが死んじゃった風太郎は、どれだけのお金があれば幸せになれるのか自分で分かんなくなっちゃったんだよな。実際のはなし施設出て中卒で就職しても、真面目に働いて衣食住確保できるレベルの収入が得られたら、風太郎は気の優しい女の子つかまえて幸せだと思える人生歩けたと思うんだけどさ。おかあさんがあんな風に死んだ記憶はついて回っても。だから風太郎を不幸にした最初のきっかけはおかあさんが死んだことじゃなく新聞屋のおにいさんを殺したことだよね。いや君の人生を間違えたのは君自身だよ風ちゃん。
今とは比較にならないくらいヤバイ表現の許された70年代の漫画をあえて今やる意味がほんとにあったのかは分からないし、きっと企画を立ち上げた頃には世の中がここまで辛気くさいことになっているとは思っていなかっただろうから描写にも抑制は求められただろうと思う。それでもこのドラマのメッセージが「世の中銭ズラ」じゃないことくらい普通の頭があれば分かるはずだし、少なくともスタッフも役者も見る人になにか感じて欲しいくらいのことは真面目に考えてたと思うよね。
日テレの視聴者に甘える制作態度は必ずしもほめられたもんじゃないと思うけど、少なくともドラマという形でなにかを伝えることをちゃんと真面目に考えてたドラマだと思う。楽しませてもらいました。