レッドクリフPart2ー未来への最終決戦ー

おもしろかったー!
決着編てことで前編より早いサイクルではなしが流れる分つめこみ過ぎてる印象はあるし、小喬の行動がややオチのためのマッチポンプなものに見えなくもないけど、前編同様登場人物の戦いが理想のためのものなのはきっちり描いているし、曹操の人物像もちゃんと描いているから孫権劉備側との対比が明確でメッセージ的なものも分かりやすかった。
以下ネタバレにつき隠します。




冒頭でPart1をおさらいした後、早いテンポで疫病が蔓延する曹操陣営が死体を劉備孫権の陣に送るシーンを描くだけじゃなく、それが曹操の陣でも「あまりにむごい」と判断されるようなことであることを台詞で聞かせるだけじゃなく、死神のような黒い衣装の人たちが死体を積んだ船を孫権の陣に向けて流す不吉な絵で見せて、曹操の非道さ、苦しむ人たちの中で自分だけが権力を恣にする惨さを物語解釈の前提として提示しておいたのが良かったと思う。これがあるから、その後のはなしで孫権側の勝利が描かれる度に理屈じゃない爽快感があるんだよね。孔明の計略で船に矢が射込まれるシーンとか、敵将の声がかかる度に「おっしゃ!」って感じだったもん。
そして冒頭曹操の兵として潜り込んだ尚香が「サッカーもとい蹴鞠が上手いから」というよく分からん理由で千人隊長に任じられた馬鹿こと淑材と仲良くなる展開は分量はさほどじゃないのになかなか印象的でした。
まあさ。孔明周瑜が信頼関係を結ぶまでがはなしのメインだった前編に比べ、後編は孔明の影は薄いんだよね。孔明の策がコケるわけないのも分かってるし。その分を疫病に冒される兵や、病から兵を守るために同盟を破り陣を離れる劉備たち、兵の死に胸を痛める小喬の涙なんかでひっぱって、いざ赤壁の戦い、という展開は燃えましたです。いくら曹操が狙っているという噂があるといっても、それで単身敵陣に乗り込む小喬はどうなのよ、というのはあっても。いやだって、曹操がもうちょっと落ち着いてたらみんなヤバかったじゃん。
これと尚香の曹操軍潜入という2大脚色要素がけっこムチャぶりで、それをどう思うかが評価の分かれ目かなあ。なんでみんな尚香が女って気付かないんだとか、腹に布巻いてメタボを装ったって、他が太ってなかったらふつーに変だろとか(笑。
でもとにかく個人的に尚香の方は無問題。だって孫権劉備に比べて曹操の戦いに大義がなかったとしても、中にいる兵たちは生活や守りたいもののために戦いに加わっているだけで罪はないんだってことを、この部分ですごい描いてたから。私淑材が死ぬとこ泣いたもん。
んで小喬の行動にしても、あれは孫権周瑜の戦いが己の誇りを守る強さを得るためのものなんだって見せ方なんだと思うしね。「しょせん父に劣る」と曹操に侮辱された孫権が、曹操の元結(特に説明はなかったけど、侍の髷同様切られたら恥って感じでしょ?)を切って小喬を助ける流れとかさ。
戦闘シーンになると両陣営の区別がつきにくくて戦況が分かりにくいとかそういう難はあったけど、爆発シーンの迫力も満点で今回も面白かった。
また見にいきたいと思います。