それでも、生きてゆく/第10話「対決の果てに」

脚本:坂元裕二 演出:宮本理江子
http://www.fujitv.co.jp/ikiteyuku/index.html
番組ラスト、文哉(風間俊介)に後ろからケリを入れて殴る双葉(満島ひかり)に声を出して笑いながら涙が出たけど、なんというかそれがこの番組のすべてだと思う。文哉のしたことへの相応の報いなんてものはどこにもないし、そもそもそれだけの報いを受けることなんて誰も望んでいない。「殺してやりたい」とか「殺しても飽き足りない」ってよくある言い回しだけど、殺してやることが許されていないのは、なによりもそれで気が済んだりは絶対しないからなんだ。
双葉が殴ったのって、文哉への怒りっていうよりそれしか思い付かなかったからだと思うんだよね。自分の人生とか父親の人生とか妹の人生とか洋貴(瑛太)達の気持ちとか、そういった諸々が文哉のせいで始まったことなのは分かっても、そもそも文哉にはそれが償うべきことだという意識すらない。それがここまで取り返しのつかないことでなかったら双葉だってもうちょっと自分の悲しみに浸ることができたんだろうけど、きっと今の双葉にとってはもっとも重要な洋貴の気持ちをこうも蔑ろにされた後では、とりあえずこの現状のどうしようもなさを文哉にぶつけることしかできなかったんだと思う。
このドラマがどう終わるにしても、それはこの人たちの救いの可能性の提示なんかじゃないよね。提示なんかじゃないけど、この人たちはもう救いなんかなくても生きなくちゃって答えだけは見つけてて、私としては、その気持ちがどっちに歩き出すのかっていうのがすげー楽しみv。