怒り

怒り Blu-ray 豪華版

怒り Blu-ray 豪華版

脚本・監督 李相日
日悪の感想をあげた後、リンクをたどるとやたらほめられてたんで「重そうだなあ」と思いつつ気がついたら買ってた。ほんと「気がついたら」で、カートに入れて手続きしようとしたら、注文確認メールが既にきてたw。
いやほんと、去年の9月私はなにをしていて、こんなおいしそうな映画の噂も聞かずにいたんだろうっていう。綾野君と妻夫木君が撮影中ずっと一緒に暮らしてたはなしなんかまったく知らなかったもん。今年になってからなんかで聞いてたから初耳ではなかったけど。
えー。映画はすげー面白かったです。面白かったというかあっという間だった。140分くらいある映画だけど、そもそも最初は4時間あったという3人分のストーリーをそれだけにまとめてただけあって、すげー繋ぎ方がテクニカルで行き届いてて、感心してる間に終わった。
視聴動機としてはきっぱり「綾野君が出てるからです」と言っちゃいますが(最近すげーファンブログっぽいなあw)、実際感情的に入れ込んで見た映画じゃないんだよね。そこはある種できが良過ぎるゆえに、「おはなしだなあ」って思っちゃったから。
それでもやっぱ視聴動機的に直人(綾野剛)の気持ちに寄り添って見ちゃうんだけど、気持ちに寄り添ったからよけい、優馬妻夫木聡)が見てて可哀想だった。
だってさー。死んじゃったかも知れないけど、公園で優馬を待ちながら死んだ直人は幸せだったと思うんだよね。それはコメンタリーで綾野君も言ってたけど、直人の方じゃ最後まで優馬は「帰りを待っていられる人」だったからで、でも優馬の方じゃ、警察から電話がかかってきた時点で、直人の持ち物も一緒にいた時間も知り合いだった事実も捨てちゃったわけじゃん。映画じゃ分かりづらいけど、多分田中(森山未來)の死後自分の誤解に気づいて直人を探しまくった中で薫(高畑充希)を見かけて声をかけたんだよね。それはきっと信じなかった自分への罪悪感とかではあっただろうけど、直人さえ死んでなければ「ごめん」ですんだはなしじゃん。なのに聞いてみたら死んじゃいました、藤田さんのことは聞いてます、こんなに藤田さんのこと好きだったんですよ、って、優馬可哀想過ぎるだろ。綾野君がこのシーン見てだだ泣きしたって言ってたけどそりゃ泣くよ。直人だった人間が見たら泣くに決まってるよ。
この映画ってすごい情報量が多いからそれぞれの感情とかあえて説明しないけど、薫と直人の面会をあんなに優馬咎めたのって、薫と会ってた直人がすごく幸せそうだったからだと思うんだよね。でもそれは、その時の直人が優馬と自分のことを話してたからで、それを知らずに疑った結果がこれって、優馬可哀想過ぎるよ。
制作費がどんなもんだったか知りませんが、すげー贅沢な映画だなあとは思った。今をときめく綾野剛が(w)こんなにも貧相に野に咲く花のような人間を演じていることが、私にとっての最大の贅沢かも知れない。