ホーリーランド

ホーリーランド Vol.3 [DVD]

ホーリーランド Vol.3 [DVD]

歴史的に上品ではない土地であまり知的じゃない高校時代を過ごしたため、「誰かがシメられた報告」というのを聞く機会が何度があったんだが、そのラストシーンが申し合わせたように「体を丸めてすいませんすいませんって言ってた」というものだったのはこういうことだったんだなあ、と今頃納得したVol.6の神代吉井戦。
加藤とか見てたら、喧嘩の勢いで死んじゃう事件が今は多いの分かるもんなあ。ショウゴとかよくあの程度の怪我で済んだよねえ。一度も出てこなかったけど、「謝って許してもらう」という選択肢は今時のヤンキーにはないのかな?
しかしほんとに良いドラマだった。
(ちなみに今日になってレンタルで1回見ただけのVol2注文しました。もはやなんで3だけ買わないんだよ、という世界であります……。)
レンタル中だったのでVol.2から見始めたのは私には良かった気がする。総監督の金子さん自ら担当したVol.1は、スタート部分ゆえ説明台詞が多くなるとか、マサキとユウがほんとには出会ってないとかのハンデがあってもこの金子組部分は後の部分に比べて見劣りしたもん。ただでさえ流れを止めがちなマサキの蘊蓄なのに、見ていたわけでもないユウのファイトシーンに挿入されたら違和感倍増。まあこれはVol.2以降のマサキが見ていて解説しているのを先に見たせいでこのドラマを私がマサキ視点の物語だと感じていたせいで、最初から見ればマサキをただの解説役と思えたのかも知れないけど。
しかし今までまったく気にして見たことがなかった石垣佑磨だけどこのドラマ良いよね。Vol.4の特典映像で石垣君自身が作者の森さん相手に話してるけど、本来の自分の中にはいないキャラだからこそ、自分の中に「神代ユウ」を呼び込むことに腐心した結果だと思う。地でできる役なら演技は要らないなんてことは絶対ないけど、素が近い役はごまかしやすいと言うのは事実だから。
Vol.6のメイキングの石垣君が面白かったなあ。まるで意識を乗っ取ろうとするユウを追い出そうとしているみたいだった。どこかに冷静な部分がなければ演技はできないというのはよく言われることだけど、実際これだけ入り込んでたらファイトシーンなんかまじヤバイと思うもん。石垣君が泣き出してNGになるとこなんて、あれ石垣君の泣き方じゃないだろ、知らないけど(笑。
個人的にはまったのはVol.4でショウゴがユウと親しくなる辺りからだなあ。それ以前はさすがにユウがうざかった。
気持ちは分かるんだ。ユウがシモキタにこだわる理由とか、分かるんだけど分かってもうざいんよ。4の辺りでかろうじてユウの考えに筋道の欠片が生まれて、もっともその筋道は相変わらず穴だらけだし第三者が近くにいるだけ迷惑倍増だしおまけにあっという間に壊れるんだけど、それでもなにを怖がってるのかも分かってない序盤のユウよりは見ていて腹が立たんのだ。
しかし金子監督は大人だなあ、というか、このドラマは撮影当時ほんの22、3才でしかなかった石垣君も含めてすごい大人の目線で作られてると思う。金子監督ってデスノ関係でも「Lが嫌いだ」とか言って叩かれてるけど、嫌いだからって冷遇したりとかしない人だよね。ホーリーランドでも「ユウ見てたら『働け』と思う」とか言ってるけど、金子監督にとっては登場人物は自分の子と同じ、「どんな子でも大事」ってもんだと思うんだ。その辺さすがウルトラマンチームっていうかw。
子供は子供に共感するけど、同じように否定もするからね。共感できなくても赦してくれるのは、やっぱ大人のすることだ。だからこのドラマはこんなに切ない気持ちを描いてるのに、こんなにきれいで優しいんだと思う。

しかし作者の森さんに、あんな過去があったとは知らなかったよ。Vol.5の特典映像では、ピエール瀧に似たガタイの良いおじさんとしか思わなかったけど。
アクション監修までやってくれたけど、撮影中に原稿落としたりしなかったんだろうか(笑。