希望という花

今週回想シーンにあった天道の台詞、「希望という名の花だ。それがなければ俺たちは生き残れなかった」ですが、この台詞のあった回のDVDが今次元の挟間に落ち込んでいて確認できないからうろ覚えですけど、確か先の台詞は「俺たちはあの日あそこで花を見つけた」でしたよね。

ダーク天道がどのタイミングで擬態したのか言わないんで分からないんですが、7年前の渋谷だとしたらダーク天道が擬態した天道の見つけた花は、母のお腹の中で殺されたと思っていた妹=ひよりです。生まれなかったと思っていた妹・ひよりを守って生きていく−−ダーク天道の見つけた希望はだけどかなえられません。現時点で一番自然に推測できる理由としてはZECTに拘束されたから。

拘束されて顧みられない自我の未熟なイキモノがどんな風か、あなた方の知る範囲に繋がれっぱなしで散歩もしてもらっていない飼い犬とかいないでしょうか。私が今回ダーク天道に同情モードなのはその自我の未熟さが、愛玩動物の非力さを連想させるせいです。顧みられないことが一種の幼児退行を起こした部分もあるのかも知れませんけど、ダーク天道の未熟さは、どう見ても分別のつかない幼児にしか見えませんから。*1
44話の感想にも書いてますけど、エリアXでダーク天道の鉄仮面を外したひよりはダーク天道が再び見つけた花だったはずです。
なぜひよりと共にこの世界で生きようとしなかったか−−それはひより自身が世界の外で生きることを望んだせいじゃないでしょうか?
自分が人間じゃないと知った時にそのまま人間ヅラして生きていて良いだなんて、少なくとも他人とコミュニケーションとれない自分にコンプレックスあるような人間なら思えないと思います。
時空の彼方に飛んだのはたまたまでも、そこで自分と2人で暮らしていく方が良いとひよりが言ったなら、それを疑う自我も是非を問う分別もダーク天道にはありません。世界の外で、天道総司ではなくひよりの兄日下部総司として生きていく−−その気持ちは孤独の中でひよりへの思慕を募らせたダーク天道自身のものだと思うのです。

なのにひよりは、ダーク天道を振り返りもせずに“世界”の内側に戻っていった。
−−そりゃ「嘘だろー!?」って思うさ!!

今回ひよりが振り返りもせずに行ったことに関してはこのままなんのフォローもないとは思っていないというか、はっきりいうとこの後の仕掛けのためにあえてああしたんだろうと思ってるんです。今週のこの怒りは単純にひよりに対するもので、そういう本を書く米ちゃんに対してはもうちょっと生温い感情というか、私が米ちゃんの本で不満に感じる状況説明の分かりにくさとかペース配分の悪さとかは単なる弱点であって作家性じゃないと思っているから、それが変わったら良さがなくなるとは思わないので。
まあ今後の展開のためにあそこまでダーク天道を落としたことにはやや不快感があるけど、私ほど怒りを露にしているのは少数派らしいし、実際ダーク天道を中身空っぽの単なる器と思えば、こんなの鬱展開でもなんでもないですもんね。

この辺私信ですが。
確かに私はカブトという番組が大好きというわけではないけど、そんなことやるわけないけど最初から作り直すならやっぱりライターは米ちゃんが良いというかそうでなければカブトにならないだろうと思ってるんで、「米村さんが嫌いなんだろう」と言われると単純にびっくりします。その上で米ちゃんの作家性を考えに入れてもカブトはいろんな意味でバランスの悪い作品になってしまったな、と思うし、生意気なようですが、その辺は「仮面ライダー」という大味なコンテンツの中で米ちゃん世界がどう見えるかを伸ちゃんが本の段階で把握できなかったんだろうな、と思ってますです。だけどね。
好きじゃなかったら毎週こんなにダラダラ
感想以外の文まであげませんよ。
好みの役者もろくに出てないのに……。<小声
私信が長くなりました。

長いこと思い続けて、手にしたと思った花を失ったダーク天道の悲しみが悲劇を生むのなら、せめてその悲しみや怒りが美しく見えるような形に仕上げてくれなきゃ米ちゃんじゃないよねー、と八つ当たり的に期待する次第です。
だって今週のひよりは何度見てもムカつくよ。ダーク天道といる時の表情とか。

*1:そのせいで、擬態されたのは18年前の日下部夫妻が殺された時一緒に、という線も捨て切れない。18年幽閉はなんぼなんでもムチャなんじゃないかとは思うけど。