仮面ライダーカブト/第46話「さらば剣!!」

ゆうべ仁義3話続けて見た目で見ると、拓ちゃんの乃木が893にしか見えねー、とか思ったんですが内容はあああ。
なんか私去年のX'masも敏樹さんに泣かされてたよなあ。

正直言うと私はあまり敏樹さんの脚本で「燃える」とかなくて、だから伸ちゃん作品支持派にしてはかなり敏樹さん信者からは遠い方だと自認してるんです。もちろん好きだけど。
でもそれでもこの人は自分にとって特別だなあ、と思うのは、確実に「泣ける」はなしを書いてくるところなんだよな。

冒頭のシーン、自分の正体を知った剣が泣くシーンのマフラーの残骸が切ない。加賀美を責めてひっぱたく岬もね。噫リアリズム。ひいちゃう描写だけど岬と加賀美の関係性で岬ならこうだよなあ。
サルのシーンの天道。分かるのよ。分かるんだけど、うあー。
お前の言うことは正しい。だが気に食わない!
こんなに天道にむかついたのは初めてだ。続く天道家のシーンの樹花の顔を見て、「脳天気に笑ってんじゃねーよ!」とすら思ってしまった。あああ。樹花ごめん。
すっかり絶望した剣が不憫だなあ。「すべてのワームは俺が倒す」のビジョンの下、即座にシナリオを書いて行動に移す姿が切ない。ライダーシステムを崩壊させるためにゼクターを集めるのは天道もやってたけど、もともと敏樹さんが生んだ剣は天道並みの自律と決断の人だったんだよな。

今回のはなし敏樹さんにしては直接的な表現を避け、時として「あれ? 米ちゃんだっけ?」と思うくらいに米ちゃん的なのにすごく二人の差が出たはなしだった。ワームとしての意識を制御できなかった剣ならともかく、すべてを知った剣はワームの時の意識もはっきりしてたから、いくらでも剣として生きていく道はあったんだよね。
それでも剣の望みは「すべてのワームは俺が倒す」こと。剣自身に対する思い入れもあるし、他に方法があると思っていても、「俺とあいつの約束だから」倒すのが敏樹さんの天道。(これは加賀美がけして天道を倒すと約束しなかった米ちゃんのシーンとの対比だね。)
555でもそうだったけど、人でないものが生きていくことはできないというのは敏樹さん脚本の基本方針なんだね。逆に人でさえあれば、何度闇に落ちても希望を失っても、いつでも光を求められる。(今週のホッパーズみたいに。)それはヒーローものが異分子を容認したらストーリーが成立しにくくなるという事情もさることながら、“人としての誇り”が自分の命より優先される、非常に男っぽい価値観からだと思う。
カブト自体のストーリーがどう落ち着くかは分かんないけど、ワームではあっても共存の道はある、むしろけっしてあきらめちゃ駄目だ、という米ちゃんの示す価値観は「どんな手を使っても生き延びろ」という女性的な価値観だと思うんだ。*1
この辺キャラとしてはダメ路線を突っ走る影ちゃんがホッパーとして兄貴といることで保護されるポジションに見えるようになってから、逆に雑草のように強かなキャラに見えてきたことにも通じる。
というとこでバトルシーンですが、あれはゼクターは壊れないと見越した上で、ワームを集めて一網打尽にしようとしたってことなんだよね? そこんとこちょっと分かりにくくてあれー?って感じあったけど。
ぼっちゃまはサソードに変身するより、スコルピオワームに変身した方が良いよな。そっちのが強いし。
岬のバングルはそんなことだろうとは思ったけど、まんまと泣けました。予告にあったデートシーン、どう見てもそんなもん入りそうにない展開に「まさか嘘予告?」と思ったら剣の願望だったのか。私もう3回見直して、まんまと3回泣いてるんですけど。

間宮ワームに続いて剣も死ぬ時は人の姿で。剣の満足した顔が切ないなあ。
正直、カブトというはなしの中でなら剣生き残りエンドもありだったんじゃないの、と思うんだけど(死んで欲しくなかったという以上に、テーマと絡めた生き延び方があった気がする。それこそ555のタクマみたいに。)、この死がどの程度生きるかは、米ちゃんが描く最終エピソードにかかっていると思う。
マジで頑張って米ちゃん!

*1:それを体現する加賀美が剣と絡めなかったのは、だから仕方がないんだね。価値観が共有できない以上、どちらかを否定する形でしか絡めないから。