ホーリーランド1

ホーリーランド Vol.1 [DVD]

ホーリーランド Vol.1 [DVD]

第1話「無少年」第2話「優しい街」
ネタバレ注意
#1はマサキを中心に、下北の街に流れる「ヤンキー狩り」の噂と八木を殴ったために後戻りできなくなっていくユウと学校に居場所のないユウの状況の説明。冒頭ぶつかって絡まれ、「悪いな」とあしらう上から目線のカリスマがとっても感じ悪いですw。
アバンで街を彷徨うユウを見せているとはいえ序盤の主役はほとんどマサキ。ゲーセンの階段でしゃべってるマサキたちの後ろで地味にユウが八木に拉致られたりしてるんだけど、その辺はテレビサイズじゃ分かりにくい。でもマサキがノボルにボクシングの有効性を説明しているアクションが、トイレで八木を倒すユウにかぶり、マサキたちが倒れている八木を見つけて拳やけがの様子からボクシング経験者だと判断する展開はカッコイイ。
でもなあ。ユウ視点で八木を倒したシーンを回想するシーンがすごい違和感あるのさ。「あなたに渡すお金はない」とか、それを言える子だったら中学から延々いじめられてないって。仲間と一緒に仕返しにきた八木を殴るシーンを含め、ユウが拳を上げることがとても意志的で、追いつめられて仕方なくって感じじゃないので自分がヤンキー狩りと呼ばれていることを知って戸惑う様子とかが納得いかんw。
八木を殴って逃げたユウがマイに会って腫れた拳を隠すシーンとか良いんだけど、#2のシンちゃんとのシーンもだけど、ユウが私服なのに相手が制服なのも違和感あんだよなあ。顔が分からなくても制服着てれば同じ学校なのは分かるわけだし、クラスメイトが制服のままうろついてる時間帯に、一旦家に帰ってから着替えて出かけるユウが「元気だなー」って見える。帰ってきたユウに話しかけるシーンで母親の顔も映さない辺りは一切この親子関係を描く気はないという監督の意思表示だろうけど、学校すら「行きたくないなら行かなくてもいい」というこの家なら、わざわざ着替えてまで出かけないような気がするんだよなあ。原作だとユウも(たぶん)制服でうろついてるわけだけど、そこは原作との季節的な差で、制服でユウの学校を特定されることを避けたんだとは思うが、一旦帰ってからまた着替えて出かけるほど「家にいたくない」理由が欲しい。学校のシャツにチノパンというユウの格好はシャレっけの無さの描写だろうけど、あれって制服の一部だから、学校が嫌だと思ってたらむしろ帰ったら着ないんじゃない? 無地のカッターシャツとかで良いと思うんだけど。
いっそここは“学校を休んでいたユウにマイが声をかける”シーンとして、マイの友達に「今日も休んでたよね」とか言わせて良かった気が。
あ。逃げるユウとぶつかって謝りもしない伊沢マサキはとってもカンジワルイです(笑。

#2は徐々に顔を知られて的をかけられていくユウ=ヤンキー狩りに興味を持つ……というよりやる気満々なマサキの描写に合わせてシンと親しくなっていくユウと、冒頭で世田商の生徒がユウに的をかけて返り討ちに遭ったことをきっかけに、世田商の吉井が柔道の岩戸にはなしを持っていったことの説明。ドラマ版ホーリーランドが吉井とマサキの確執を縦線にしていることを思えばいわば開戦前夜なんだけど、ユウ側の描写はシンやマイたち女の子グループとのやり取りを中心にようやくユウに救いの芽がw。
ゲーセンで“抵抗したこと”を激しく後悔するユウにシンが声をかけ、カモられたと思い込んで世田商の高田からかばう一連のシーンがすごく良いだけに#1で学校のシーンにシンがいないのが惜しい。「ななめ後ろの席」っていうけど、シンは映ってないんだよね。
原作だと学校で“ヤンキー狩り”の噂をしてるのもシンなんだけど、ドラマは学校や家はほとんど切り捨ててて最低限しか描写してないから逆に“街”にこだわる理由も分かんないんだ。街を歩いてるユウもずっと怯えて視線を落としたままだから、街のなにに惹かれてるのかも分かんないし。
下北でも学校でも良いから#1でマイに絡んでおけば#2で一緒に遊ぶ展開も納得なんだけど、#1で姿がないからゲーセンで声かけるシーンとかユウに向ける好意が唐突なんだよね。ヤンキー狩りを探す高田とのシーンでお礼を言われ、そういう街でハバを利かせる人間と繋がる自分に得意になる、みたいな子供っぽい見栄やそれに伴う兄貴気取りみたいな心理を青山君がすごい上手く見せてるだけに、#1でユウを気にかけているのがマイだけなのがすごく惜しい。青山君が撮影に入れない事情があって実際ユウと絡まないシンの不在を気にしなかったのかも知れないけど、ドラマが進むにつれて役者と役が神懸かって良くなるだけにDVD2巻辺りまでの、脚本の台詞と実際の見え方のちぐはぐさがなんか気になるんだよなあ。
しかし世田商の不良に肩をつかまれて右を出せないユウが、学校での自分を思って夢中で左を出し続け、離れた瞬間のワンツーで殴り掛かる瞬間の石垣君はすごく良い。戦うユウと普段のユウのギャップは全編通して描かれてるけど、一瞬で豹変する点ではこのシーンが出色。
あ。#2でナンパに失敗し続けるノボルの前で、一瞬でおねーちゃん引っ掛ける伊沢マサキはとってもカンジワルイですw。
このシーン、友達のところに戻ったマサキが1000円受け取ってるのは賭けだったのかな。原作ではほとんど人間のクズのようなノボルですが、ドラマはけっこうおいしい役。

メイキングは金子監督による#1、#2の撮影風景。石垣君がずっと現場に台本と漫画を持ってきていたというエピに合わせて、金子監督と脚本の黒田洋介氏、原作の森恒二さんの三人対談。
森さんは俳優たちのアクション練習にも立ち会ってるんだけど、たぶん撮影に入る前の徳山君がすんげーチャパツw。髪型は伊沢マサキなんだけどちょー違和感ありますw。
アクションメイキングは#2で世田商の小僧が岩戸にやられるシーン中心。シャツの下にウレタンみたいなクッションみたいなもんを巻いての撮影風景に合わせてこの巻のメイキングは対談中心。ユウが街に居続ける意味とかユウとマサキの関係の元イメージになった先輩の伊沢さんのはなしとか(w)。
ホーリーランドの世界として監督が「1999年の夏休み」を引き合いに出すのが興味深い。萩尾望都の「トーマの心臓」を原作に(といっても、萩尾望都には原作という意味では否定されてるらしいが)女の子キャストで少年たちの恋を描く元祖BL作品はもともと映画はあまり見なかった私が見た数少ない金子作品なんだが、この対談見る前からこの作品にはすごい共通した匂いを感じるというか、描かれ方が近い気がしてたんだけど、夜の街に居場所を求めるユウに「おまえそんなこと言ってないで働けよ」と感じる一方で、1999年の少年たちの感じる一瞬は永遠だと語るこの辺りが、私が金子さんに萌える由縁なんだよなー。すいません、おっさん萌えでw。
そういえばメイキングのアクション見て思い出したけど、#2で世田商の不良とやり合うユウがけっこうフットワークできてる印象あんだよな。格闘技経験者の石垣君は当然フットワークできてるんだけど、ここってユウはワンツー以外滅茶苦茶ってシーンなのにw。