良太郎ってどんな人

id:shibacciさんのこのエントリにコメントしようかと思ったんだけど、なんかまとまんないしマイ良太郎の押しつけみたいになりそうなんで自分のとこに。
実際のところ、良太郎のことを「神様みたいに良い人」なんてことを言った馬鹿(制作スタッフに失礼な言い種なのは分かっているが心情的に)は坂本監督に決まっていると私は最初から思っていて、それはちょっと判断としては卑怯なやり方だけど、伸ちゃんと靖子にゃんと田崎監督で電王の企画をつめたという言質が取れてる以上、この人たちが「神様みたいに良い人」のはなしなんか作りたがるわけがないって気持ちがあるからで、だとしたらそんなこと言いそうな人は坂本監督しかいないよなと思ってるからなんだけど。
5,6話の坂本組ウラ登場編の微妙さって、ちょっと真意を計りかねる良太郎のウラ受け入れをどう取るかの微妙さで、電王の主役が五代雄介@クウガなら「五代は神様みたいなやつだから」でも納得いくんだけど(w)良太郎のキャラってそうじゃないよね。Vol.2に入っていた未放送シーンでもそういう悪気の描写は随所にあったけど(あれはカットして正解だと思う。主役ヒーローを、最初からそこまで微妙なキャラに描く必要はない)、今まで放送されてきた中にも侑斗の登場を待つまでもなくちょっとした黒さを表すシーンはいっぱいあった。例えば大輝がハナが怖かったと告白するシーンも、ハナの隣で良太郎が笑いをかみ殺しているのは良太郎を演じる佐藤健が笑うのを我慢しているわけじゃなく、佐藤健が演じる良太郎がハナという、正義感はあるけど暴走気味な仲間の困ったキャラを笑ってるんだよね。
そもそも良太郎がウラ受け入れのよりどころにした大輝の嘘に対する認識をどう見るかだけど、前提としてウラは大輝が嘘をついていることは分かってたはずなんだよ。嘘つきは他人の嘘にも敏感だから。同じように、良太郎も大輝が嘘をついているとは言わないまでもなにか知っているのは感じていたと思うんだ。
例えばハナっていうのはこういうシーンで、知らないというなら知らないのだろうと単純に信用してしまうキャラで、この回の脚本がわりと顕著なんだけどハナって先入観でしか判断しないんだよね。ウラは最初から嘘ばかりついているからウラの言うことは嘘に決まっていて、大輝の言うことを信じたことも、嘘をつく理由が分からないから嘘じゃないと単純に思っている。自分が怪人に言ったことが現実になったら、小さい子が怯えることなんか普通に考えられるのに。
んで見直して思ったけど、良太郎のあれってやっぱり良太郎は分かってて言ったんだと思うよ。そもそもナオミが「無理あり過ぎ」って言ってるし、前提としてあれが良太郎の善意の嘘なのはオーナーもみんな分かってるんだと思う。ハナは分かってないみたいだけど、あれはハナが良太郎を善意の人だと思いたがっているせいだよね。
私は電王がセーラームーンとかぶると以前から言ってて、良太郎に対するハナの立ち位置って特にまこととかぶるんだけど、それはセーラームーンという番組のフォーマットを単純に電王に引き移したと思っているわけじゃなく、私が“単純で真っすぐな善意が運命に抗えるか”というはなしだったと思うセーラームーンと同じ視点が電王にもあるなと思ってるだけ。
んでついでに言うならセーラームーンのエピソードっていうのは、人は思いやりや好意にすら傷付くというはなしをグダグダグダグダやってたわけで、そういう視点で作ってるのかな、と思う番組の主人公を単純に”良い人”とか“黒い子”とか判断しようとするのって、なんだか意味がないと思うんだ。
最近電王の感じと重なるなあ、と思った発言にユリイカ安彦良和特集の対談で安彦さんの言ってた「ガンダム以降は喜怒哀楽で片付けられない表現が必要だった(ちょー意訳)」というのがあって、例えば今週ピアニストを消えさせてしまった良太郎の気持ちをなんて呼ぶのかってことに私はすごく迷ったんだけど、あれは悲しいとか悔しいとかではないと思うんだよ。電王は素直じゃなかったりいい加減だったりで気持ちを真っすぐに語らないキャラが揃っている分、そういう自分でも言葉にできない重苦しさをけっこう頻繁に描いていて、それはやはり靖子にゃんの独壇場だと思うんだね。

というわけで、良太郎は“どんな人と一言ではいえない人”というオチでしめたいと思うです。<無理矢理だなー。