あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった−カウラ捕虜収容所からの大脱走−

弓削っちが斉藤さんに出ていた頃に告知のあった番組だから、なんだかんだで半年近くたってるんよね。だいぶ前にクランクアップしてたみたいだけど。
いやもう史実に基づいたおはなしとあって、気持ちの動きとしては「なんで?」としか言えないんだけどさ。孝太郎ちゃんと大泉洋がGJでした。二人ともすごかったよ。ほとんど演技だけでもたせたと言って良いと思う。
1104名による脱走で死者231名のうち自決したもの31名ってさ、なにげに一番重い事実は死んだのは231人しかいないってことだと思うんだ。いや“しか”って言っちゃいけないんだろうけどだって1104-231=873だよ? 死んだ人の4倍近くの人が、その死を背負って生きないといけなかったんだよ?
だってそもそも、この状況で脱走決行を選んだのって、彼等がみんな「生きていちゃいけない」って思ってたせいだよね。日本に帰りたい、おかあさんに会いたい、なんてそんな気持ちがあるのは当たり前のはなしで、それでも自分達は生きてちゃいけないと思ってるから、「死ななきゃ」ってプレッシャーに負けちゃったわけでしょ? もちろんあの状況で「生きたい」と言えないプレッシャーってのもあったんだろうけど。
孝太郎ちゃんって育ちが良い雰囲気あるから、毒のないイケメンで便利に使われてるけどあまり中身のある役をもらってないと思うんだけど、この役はすごく良かった。死にたいわけじゃないけど死ななきゃいけないと思うジレンマと、その一方で生きたいと願う二郎さんへの共感と、なのに死ななければ、と選ぶその気持ちの揺らぎをどう筋道立てるもんなのか、インタビューとか入るのならDVD欲しいな。
というか、憲ちゃんと二郎さんってなんかすごかったよ。なにが、と言われると返事に困るけどw。
展開としては「生きて虜囚の辱めを受けず」とか言いながらのうのうと捕虜収容所で戦争ごっこやってる黒木@阿部サダヲが叩っ殺したいほど憎ったらしくって、死んだ瞬間ガッツポーズしちゃいました。ああいうのが生き延びちゃ駄目だよね!
昭和18年の帝国軍人が長髪ってことないでしょ、っていうのはあるんですが、カウラ捕虜収容所の清潔さとか支給される制服の真新しさとかはドラマの嘘の範疇で良いんじゃないでしょうか。良い男の軍服(もどき)は眼福だなあ、って感じである種のイケパラ番組だったのは事実だと思う。久々に袴田君も見れたしうれしかったよ、私は。でも斉藤さんの頃の弓削っちってあんなに丸かったっけ?
なんていうか、どんな形であれマインドコントロールのまかり通っちゃう世の中にしちゃいかんよね、と思いました。自分で考えないと駄目だと思う。うん。