良太郎★モモタロス。望みを言うよ

電王公式読本の伸ちゃんと靖子にゃんの対談で最終回#49の内容は5文字で終わる「電王終わり」だけだ、と読んだ時、「さすが自分の信じてない理屈で『ヒーローと正義』を書き上げる釣り師シラクラだなー(^_^;」と苦笑いしたんだけど、#49の内容がそれだけなんてことは絶対ないわけで、でも確かにそれは、“電王”ではなく“良太郎物語”だったという意味で、あの最終回に内容はないんだよね。
以前Vol.10の感想で電王のはなしは健の表現力があるゆえにはしょられてしまった、ということを書いたけど、ライダーとしては異例のDC版としてリリースされた特別編でもリュータが消えることに怯えるようになる、って流れがカットされてたことが明かされていて、これも“良太郎物語”としては重要なシーンだったはずなんだ。
良太郎って、#43から#44の柴崎編でタロズの消滅を受け入れたように見えるけど、あれはタロズの「自分たちは消えることになっても良太郎と戦うことに納得してる。そこで“一緒に戦えない”なんて言われてもうれしくない」という理屈に納得しただけで、自分の気持ちとしては全然納得してないんだよね。その上で消滅を前に良太郎から離れて戦場を引き受けるキンタとウラのエピがあって、リュータが怯えるというのは、良太郎にとって「みんなが納得しているのなら」という条件付きで納得していたこの戦いの、前提が根底から揺らぐはなしだったはずだと思うんだ。
#49の冒頭で良太郎が粒子化するモモに「ここまできて迷ったりしてないよな」と詰め寄られて「僕と、最後まで一緒に戦ってくれる?」と望みを言うけど、これって良太郎の望みじゃなくってモモの望みだよね。このシーンで良太郎が「僕と……」で言葉を切って、なにかを飲み込んだような苦い顔で「最後まで一緒に戦って」を言うんだけど、あそこの良太郎って私がずっと言ってた“自分の目指す正しいこと”のために自分の正義を押し通してきた良太郎じゃない。最終回になって、人のために自分の痛みを飲み込むいつものシラクラライダーに良太郎は一度なるんだよ。
ところがカイの破壊を阻止しようとした良太郎を守るためにリュータが自分の怖さを乗り越えて、ナオミちゃんがキンタやウラを連れてくる。このシーンのタロズには消滅の覚悟も自己犠牲もない。ただ良太郎とともに自分達が存在したこの時間を守るって意思と良太郎と戦う喜びだけがあって、それは良太郎にとっても同じなんだよね。一旦利他にシフトした良太郎の戦いだけど、ここにきて愛理や桜井の守ろうとした、自分のいるこの時間をみんなと一緒に守る、という意思には利己も利他もない。キンタに伝えた良太郎の望みは、「みんなと一緒に戦っていきたい」だったんだから。
その結果消えたと思ったタロズは知っての通り復活(私は一貫してカイの破壊で消滅→良太郎の記憶で再構築と認識してます)するわけで、実は#49って、すげーシラクラライダー救済の物語だったと思うんよ。