戦場のメロディ

http://wwwz.fujitv.co.jp/utahime/index.html
ドラマというにはあまりに作りの荒い、再現ドラマとかドキュメンタリーといった趣の番組でしたが内容はぐっときました。まあ知ってるはなしだったんですが。
もともと大陸歌謡好きのオコサンだったので渡辺はま子のベストアルバムを持っていて(高校生の小使いでそういうものを買うやつw)歌詞カードに曲とともにその説明も書いてあったんですが、「ああモンテンルパの夜は更けて」についていた説明の「戦後モンテンルパの戦犯収容所の死刑囚によって作られ、渡辺はま子が慰問コンサートで歌って解放のきっかけになった。」みたいな文章はわけが分からず、曲も「蘇州夜曲」や「支那の夜」の中国風の華やかさに比べると素人臭くまるで印象に残っていませんでした。
数年前BSまんが夜話で虹色のトロツキーをとりあげた時に終了後の番組でこのネタのドキュメンタリーをやってて、そこで詳細を知ったんですが渡辺はま子って軍の命令で戦地の慰問をしていたんだし、その前にはヒットしてた曲を発禁にされたりしてたんですね。終戦も外地で迎えて1年間捕虜として過ごしているし。
そもそもいくら戦時中のこととはいえ、女の人が戦地を慰問して回るって過酷なはなしだと思うんだよね。それをやらされて歌ってたことを、自分の罪だと思うって人が良すぎるとは思うんだけどさー。
事情はどうあれ自分のしたことの結果に胸を痛めて、それに関わる不幸の連鎖にできることを考える、言葉としてはありふれた美談にありふれた良い人だけど、関わった人たちの事情や胸の痛みを考えると、ありふれたはなしなんかどこにもない、そこにあるのはその人だけの言い知れぬ悲しみであり救われた喜びなんだなあと思います。良い番組でした。フジなのにw。
薬師丸ひろ子渡辺はま子アメリカとのクオーターだよね)を演じるには日本人過ぎ線太過ぎって気はしましたが、ちょっとずれた誠実さ真摯さを伝える柄には合ってましたね。囚人解放に尽力する役人の植木の成宮は、悪くもなかったけど良くもなくて、ちょっとイミフなキャスティングだったかな。もっと戦後の生真面目な公僕って感じの人ならいるだろうに(^_^;。教誨師の小日向さんは当たり前だけど(w)すごかったです。