仁/#11(最終話)

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恭太郎さんは田ノ助に弟子入りしてお侍より役者になったら良いよ!
というのは与多ばなしとして、ラストは文句なく面白かった! 仁先生も咲も野風も恭太郎も落ち着くところに落ち着いて、そりゃあ仁先生がこのまま江戸時代にいて良いのかってのはあるけど、どうすれば守れるかも分からない未来に囚われてるより、目の前の命を守るという良心と自分を信じる方が良いに決まってるもん。
「仁が切らなくて良いというならそれで良い」という野風の諦観は、そもそも身請けばなしを断れない女郎の身の上や、それ以上に「仁に見捨てられた」という絶望から来るものだよね。偉い人に身請けされるなんてもともと野風が望んだことじゃなく、咲の気持ちを知ってる野風にしたら仁に望むものすらなくて、ある意味自分の胸にできた乳ガンこそ仁と自分を繋ぐものになるかと思ったのに仁はそれすら見ないふりをした。それなら仁の見なかった野風花魁のまま、女郎の運命に従うのが野風の決断だったのだろうし。
んで咲の縁談っていうのも、なんだか漠然とした女の運命みたいなものに従わないといけないのかな、と咲が思った結果進んでいたんだろうしね。恭太郎が申し分のない人格者だといい、咲を気に入っているという相手との縁談は普通ならいいはなしなんだろうけど、咲が仁を好きでいる以上、咲は誰より自分に嘘をついていないといけない。そんなことは咲にはできない、という恭太郎の読みは当たってるよね。
仁が呼んだ名前が聞こえたはずもないけど、咲はずっと仁の声に応えたいのだし、仁のそばで手伝っていたいんだから。
そして仁の声に応えて傍に駆けつけ、仁の危機を救うのが天の与えた咲の役割りなんだろうし、結果的に仁に決断させる佐分利や戻ってくる竜馬も、あるべき場所に物語を着地させるために天からもらった役割りを果たしたんだと思うんだ。そういう、いろんな人がいるべき場所で自分の痛みよりやるべき仕事を優先した結果野風の手術の成功がある。そういう天意が、人の悪意に踏みにじられるはずはない、というのが仁の物語だよね。
仁によって救われた命という絆を得て、新しい人生を歩み出す野風も、すべてがあるべき場所に収まった良い最終回だった。解決しない問題があろうと人の人生は続いていくんだし、この人たちには人生を歩いていく強さがあると示すことが、終わっていない物語をしめくくる作法だと思う。
文句なく良い番組でした。さすがだよ石丸P! このあなたの能力でブラマンも頑張ってね!←必死w。