龍馬伝/第12話「暗殺指令」

http://www9.nhk.or.jp/ryomaden/index.html
演出:渡辺一貴
1862年。龍馬27才、以蔵24才、武市31才、弥太郎28才、久坂23才(生年より単純計算)
先週に続き演出は渡辺一貴。しかし弥太郎(香川照之)のむかつくことったら。こいつ殺して良い? 答えは聞いて(ry。
まあ久坂先生(やべきょうすけ)の尊王攘夷教室と、東洋先生(田中泯)の開国(というか山内家由来)教室で、武市先生(大森南朋)と吉田東洋の対立の原因と立ち位置はちょっと見ている方にもわかったんじゃないでしょうか。つってもアメリカと日本の貿易の不平等とか私も知らなかったけどな。まあ武市さんが東洋を殺さないとと思いつめる気持ちは分かるというか、たぶん私が武市さんでもそう思ったと思うよ。土佐勤王党が瓦解したらどうだっちゅー問題は別にしてな。あそこで並んでた土佐勤王党のやつら全員、おまえらが武市さんを傷つけたんだって自覚しろ。
そもそも薩摩や長州が攘夷に向かったという情報の内実ってどんなもんだよっていうのはあるんだけど(あの下士集団は武市さんを持ち上げてなにをするつもりなんでしょうか)少なくともこのドラマにおける土佐勤王党って地元の青年団に毛の生えたようなもんでしかないと思うしさ。土佐という土地の中で虐げられている下士という集団が、たまたま幕府が各藩に意見を求めるという異例の事態でちょっと殿様から言葉を賜ったことで自分らの未来の可能性がある、と思い込んだ武市さんの思想に乗っかっただけだろ? そして「このままでは自分達に未来はない」というのは間違いではないと思うしさ。
可愛い嫁をもらった弥太郎がなんで土佐を出たいと思うんだ、ここで出世を望むのは当たり前だろう、というのはある意味当然で、龍馬(福山雅治)がおめでたく世の中のことを考えていられるのは、龍馬自身には自ら背負うものもなく、その生き方を理解して支える家族があるからってことだよね? このはなしの大人編がスタートした時点で武市さんにだけ奥さんがいたのは伊達じゃなくって、自分にはここで冨さん(奥貫薫)やおばあさま(菅井きん)を守る義務がある(=思うままに生きる自由がない)というのは、藩という枷を背負って生きるこの時代の家庭人として当たり前の感覚だと思うんだ。その中で、自分にもなにかができると認められたい、自分をすごいと言ってくれる人たちが、つらい思いや悔しい思いをしないで生きられるようにしたい、と思うのって自然だよね。人は目的と手段を混同してるって言うかも知れないけど、武市さんにしたら夷敵から日本を守りたいと思うのなんて当然だし、自分の思想に賛同してくれる人がいたらそれを通す手段を考えるのなんて、当たり前のはなしだと思うんだ。そこで「自分だけが正しいと思ってる」って、どう間違ってるのか説明してから言えよ。言っても分からないから嫌いなんじゃなくて、嫌いだから説明したくないんだろ?
田中泯さんは大好きだし吉田東洋はかっこいいと思うが、武市さんが可哀想でさんざん泣いた今週であった。なにが可哀想って、自分の意見を鵜呑みにしない人にしか心を許せない武市さんの、本然の正義感とかそんなものを尺度にしていたら自分の道も探れない現状だよ。そこで武市さんの味方になるのは、自分の中の迷いを切り捨てたもう一人の自分ってすごい可哀想じゃない? それすでに自分じゃないし! 違う自分に食い尽くされちゃう人生なんて可哀想じゃん!
あ。久坂玄瑞のやべきょうすけは、ちゃんとハタチソコソコに見えました。役者ってすごいね(・∀・)
しかしおかしさをねらったシーンだろうけど、龍馬がお小姓組の役目を「譲れる」立場だと思う弥太郎の頭の悪さったら! 死んじゃえ弥太郎の馬鹿!
そういえば後藤君(青木崇高)はなんだってそんなに龍馬がうざいんだろう。龍馬を殺してなんになると思ってるのかがよく分からないなあ。
そういえば以蔵(佐藤健)は今週もとっても可愛かったが、今週は武市さんが可哀想過ぎて、ちょっと以蔵のことも許せない気分だ。沢村惣之丞要潤)とか死んじゃえって気分。
ああ武市さん可哀想だなあ。もう一回見よう。