美丘〜君がいた日々〜/#3〜5

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脚本:梅田みか 演出:猪股隆一ほか
家人と茶の間で見ていたら林遣都を指して「なんでこのにいちゃん、こんなに貧相なの」と言っていた。いや林君のことは、貧相じゃなくって線が細いって言ってよ(^_^;。
とはいうものの、このドラマの説得力に林君の貧相さというか、可哀想さというのは大きいと思うんだよね。ドラマの中のできごとや向けられた言葉に対して、受け止めあぐねて泣き出したいのを耐えているように見える悲しそうな目を見ると、理屈でなく太一(林遣都)と美丘(吉高由里子)の運命に感情移入してしまう。子供と動物には誰も勝てないというのはよく言われることだけど、子供みたいで子鹿みたいな林君の存在も理屈は同じかも知れない。
いやあのさ。ストーリー展開に対して、娘がもうすぐ死ぬって時に、恋人との仲を引き裂いてでも傍にいて静かに暮らして欲しいっていうのは親の情動として自然なものだと思うし、息子の連れてきた明るい彼女が余命幾ばくもなくて、二人とも真面目に好き合っていたらできるだけのことはしてあげたいと思うのも、当たり前だと思うんだよね。それでも現実にそうなった時に、娘の気持ちをかなえてやりたいと同棲を許す母親とか、生活しようと思ったら出席とか勉強とかどうなるか分からない、下手したら人生変わるかも知れないのに許す太一の親とか、すごい良い人だけどこれはファンタジー過ぎる、と見ていて思うのは思うんだよ。でもドラマとして「別れる」という美丘の言葉を聞いて、「嫌だ」と言うことすらパワーを蓄積してからじゃないとできない太一の必死さとか見たら、おはなしへのどうこうじゃなく、その理屈でない“可哀想さ”に同情して泣ける、と思う。
太一の様子のおかしさとか考え合わせたら、事態の深刻さとか察して良さそうなもんなのに、そんな悲劇が自分達に起こるわけがないと疑いなく信じる邦彦(勝地涼)たちの明るさとかリアルな若さの描写だろうし、ほんとこのドラマは人的説得力ですべてを賄っているよなあ。夕輝壽太とかがこの程度に上手いのは夕輝壽太なんだから当たり前だけど、ノーマークだった直美の中村静香が自然で良いわ。