それでも、生きてゆく/第2話「想い、絶たれて…」

脚本:坂元裕二 演出:永山耕三
ああなんかこの感じってすごい分かる。
双葉(満島ひかり)にとって文哉が“おにいちゃん”でしかないように、洋貴(瑛太)にとっても文哉は親友でしかなくて、妹を殺す理由もあったはずがなければ、そんなことをするような人間のはずもなくて、彼等はその事実に納得できなかっただけなんだよね。
もちろんそんなこと納得できるはずがない。親友が妹を殺したことも兄が少女を殺したことも納得できる人の方が稀だろうけど、それでも大抵は心に蓋をして、納得したことにして生きていくものなんだけど、それを上手くできない人は、納得できないまま中途半端に、納得できてる人の真似をして生きていくしかない。
双葉は別に兄の冤罪を信じていたわけじゃなく、おにいちゃんが人を殺す人間なことに納得できなかっただけだと思うんだよね。本気で信じていないからどこか現実味が稀薄で悪い夢を見てる感じも拭えなくて、でも現場に咲く花を見た時に、優しいおにいちゃんだけど人を殺すかも知れない人だったことに納得してしまったんだと思うんだ。だからあの慟哭は殺人者になった兄への同情とか、殺人者の妹にならないといけなかった自分の運命とか、殺された少女への同情とか、その死を受け入れられない洋貴への申し訳なさとか諸々の、この15年の不幸に対する慟哭だと思うんだよね。
深い悲しみを描くと同時に、悲しみを知るからこそのなんつーか不幸な人だからこその強さとかそういうのも描いて、ささやかで地味だけどカタルシスもある。来週が楽しみだー♪