日本で一番悪い奴ら

監督:白石和彌 脚本:池上純哉
買っただけで見ていないDVDが山になっていて、もはや自分がなにを所持しているのか分からなくなっているんで心を入れ替えてせっせと見ているんだが、映画は比較的後回し(重いのが多いから)、つまんないと中断、ってなっている中すげー面白くて一気に見た。なにが面白かったって綾野剛が。もう綾野君見てるだけで面白かった。
なんかやっぱさー。諸星(綾野剛)はピュア過ぎたんだと思う。馬鹿だから(えっ。ピュアって言ったじゃんw)ひとに言われたこと過剰に真に受けて、自己保身とか関係なく突っ走っちゃったんだよね。
すげー綾野君の柄に合った役だと思うのは、綾野君キャラの人との関わり方の不器用さ、それゆえの距離感のおかしさ、現状認識のまずさとかそういうのが、諸星にすげー似合ってたから。マジ綾野君だからできた役、綾野君だから説得力持たせられた映画だと思う。
そういえばコメンタリで「コメンタリ初めてだ」って言ってたけど、綾野君シュアリーサムデイでコメンタリー録ってるし。まああれは座談会みたいなもんだったし、綾野君はなんもしゃべってないけどさw。
弁護士の接見で映画を〆、顛末を文字で見せたエンディングは秀逸だと思う。こういう仕事もちゃんとしてるから、綾野君の仕事は抑えとかないとって気がしちゃうんだよなー。

特典ディスク

メインは撮影のメイキング。これ何分あるんだろう。そうとう長いよw。
見ていて思うのは、この映画のトーンが相当「綾野剛ありき」で決定しているということ。むしろ諸星が綾野君じゃなかったらどんな仕上がりになったのかと思う。
綾野君はさ。やっぱり「上手い役者」とかじゃないんだよね。この映画でも20台中盤からたぶん50台に届くくらいの期間を演じてるのに、人間性の変化は描けていても老いは描けてなくて、たぶんそれはこの映画の唯一のアラなんだけど、綾野君の体で演じられる諸星要一の人物像がすごくクリアーだから、このばかばかしいストーリーに「まあそんなこともあるよね」と思える。ある時期からの諸星がずっとあせっている、なんてはなしは見せ方としての技巧のはなしではあるんだろうけど、「諸星としてどのように存在するか」という役作りのはなしに思えるんだよね。
メイキング以外はお約束の初日舞台挨拶とか試写会とか。現場楽しそうだなあ。綾野君すっかり大人だなあ。
綾野君がこんなふうに存在できる、それを見る機会があるということがなんかうれしかった。綾野君のブレイクに「すげーうれしい」とか今まで特になかったけど、ブレイクしたことで綾野君の可能性を信じる人が増えるってことは、こういうものを見せてもらえることもある、ってことなんだなあ、とちょっと感心するw。