明日の約束/〜最終話

別に好きな役者が出ているわけでもなく、登場人物に感情移入するわけでもなく、それでも今期のドラマで一番面白かった。コウノドリやゆがみを次の日に回しても、この番組だけは絶対その日のうちに見た。
ふと気づくと視聴率はびっくりするくらい悪かったが、センセーショナルにあおるどぎつい描写を入れるでもなく、分かりやすいヒールを描いて祭りを狙うでもなく、常に抑制の利いた誠実な描写を重ねたことがこのドラマが面白かった一番の理由だと思う。このドラマの脚本家がかつてその場しのぎの頭の悪い感動シーンや、倫理観のかけらもないおまつり展開で、私を激怒させたメイちゃん(しかも同じ火9枠w)の古家和尚であるのは感慨深いw。
1話で霧島(及川光博)やバスケ部顧問が「いじめはなかった」と言っていたけど、現にあったことは冒頭で描かれていたし、でもそれだけならきっと圭吾(遠藤健慎)は死ななかったよね。誰が圭吾を死なせたかというより、どんな救いがあれば圭吾は死なずに済んだのか。圭吾が死んだ最大の原因って、いくら対人関係まで管理されてたとはいえ、真紀子(仲間由紀恵)の管理に反抗することを思いつけるような建設的な人間関係をまったく持ってなかったせいだと思う。でもそれは、自分を一番愛しているのが他ならぬ真紀子だって知っていたからなのかな、だから誰よりも(=真紀子よりも)、日向(井上真央)に自分を好きになってくれって言ったのかなってちょっと思った。でもそれはほんと駄目なのが分かった上で試しただけで、どっちみち1話の冒頭から圭吾は死ぬことは決めてたんだよね。
圭吾の死の真実は誰にも分からないし、日向も別に分かるとも知りたいとも思ってないんだと思う。このドラマは圭吾の死の真実を追うドラマじゃなくて、圭吾の死を巡る出来事から、日向が自分自身の心と向き合うドラマだったんじゃないかな。だってこのドラマの中で、一番カウンセリングが必要なのって日向と和彦(工藤阿須加)だと思うもん。
なにが残ったとかだからどうだったとかじゃなく、ただ面白かった。ずっと見てきたドラマの帰結として、ずっと心配だった圭吾の妹(恵美里@竹内愛紗)が、母に寄り添うことを選ぶほど強くなったことが良かったと思った。