良太郎★おまえの望みを言え

劇場版電王で腑に落ちないのはクライマックスで侑斗が良太郎たちを連れてきてから、それまで実体化して戦っていたモモ以外のイマジン(モモは変身するから除外)はどうしてたんだってことですね。そもそもタロズが実体化して戦える分だけいつもよりずいぶん条件は良かったのだから、劇場版の侑斗の行動は見せ場を作るためのムチャだなあとは思うわけです。<もちろん侑斗に罪はありませんw。
番組開始当初から私は感想で「良太郎が望みを言えばタロズも実体化するから戦う時に便利だぞ」ってことを言ってたわけで、契約の内容は知らないけどそれを実行しているのが侑斗とデネブです。侑斗の変身に制限がある分、デネブが戦ってフォローしているわけで、そういう例を見ているのに誰も良太郎に望みを言わせないタロズたちは人が良いのか頭が悪いのか(笑。モモに関しては良太郎サイドからはっきり契約内容を保留するやり取りがあったとはいえ、ウラ以降は契約がイレギュラーだったという事情はあっても、みんな生真面目に「望みは言いたくない」という良太郎の強情さに文句も言わずに付き合ってるわけで「ほんとおまえら人が良いよなw」と思わされます。
ただこういうのはネタとして思うことであって、番組の構造に絡めて考えるなら電王でいう「望み」とは過去の後悔に繋がるもので、じゃあ良太郎の後悔とはなにかというのがこのエントリのネタ。
番組が始まった頃の“何者でもない”良太郎ならば望みを思い付かないのもそう違和感のあることではないのですが、番組が進む中で良太郎は誰に迷惑かけても間違ってても、愛理の婚約者だった桜井侑斗を今の時間に連れ戻すと宣言してます。その頃侑斗が登場して有耶無耶にはなしが進んでいますけど、おまえそこまで思うんだったらそれをタロズに言って手伝わせたらどうだ?っていうのもあるわけでw。
細かいことを言わなければ「桜井侑斗を連れ戻したい」というのは明らかに良太郎の望みですよね。ただ仮にその望みが叶ったとして良太郎が飛ぶ一番強い記憶の日付けはどこかといえば、愛理が湖に行ったあの日だと思うんです。桜井が消えた日に飛んで桜井を引き止めれば愛理が湖に入る原因自体がなくなるわけだけど、実際に良太郎の心にかかっているのは桜井が消えたことではなく「いつもどおりに僕の弁当を作ってくれた愛理が、ほんとにいつもどおりなわけがないことが自分に分からなかった」こと。自分が愛理の本心に気付けなかったことが後悔なわけで、それは桜井がいなくならないことでは解決しないんですね。
18才の良太郎が人の気持ちが見た目どおりでないことをただ一人の肉親の存在と引き換えに思い知らされれば、それが行動の指針になっても仕方ないと私は思います。侑斗が「良い人属性」と呼ぶ良太郎の契約者への態度は、「心残りの深さは当事者にしか分からない」という愛理の際のトラウマからくるものだと思うんです。良太郎の望みは他人の痛みを見逃して後悔する自分でいたくないというもので、それに他人の手は必要ないんですね。<本人分かってないでしょうけど。
ただそれが本当に良太郎自身の望みといえるのかといえばやっぱ微妙なわけで、やはり良太郎が自分のためになにかしたいと思わないというのはなにかが間違っていると思うんですね。555が夢のない巧が夢を見つけるはなしだったように、電王も良太郎が望みを見つけるはなしなのかと思うんです。
愛理のためでも使命のためでもなく良太郎がなにかを望む時、良太郎のなにかが変わるんでしょう。