BECK読了。

この数日読み直してたのを最終巻まで読み終わったところで、この数日思ってたことを覚え書き程度に。ちなみにカテゴリいろいろ噛んでますが基本的に全部自分の個人的感慨だし、ネガティブ日記(ある意味w)なんでたたみます。

BECK(1) (KCデラックス)

BECK(1) (KCデラックス)

家にあった単行本は25〜29が抜けてたんで、たぶん私は24巻までしか読んでなかったんだと思う。まあ終わったのは知っていたけど結末が気にならない程度の思い入れしかなかったってことなんですが。
健がこの映画に出ることを喜べないのって、結局この漫画を好きな人って“BECK”という漫画が好きだっていうより、自分のイメージした“BECK”ってバンドのファンなんだろうな、って思うからね。それは私自身がけっこうそうだからそう思うんだけど、理由としては34巻もあるこの漫画がほとんど面白いと思えないから(^_^;。
前に自分はBECKの音をNUKEY PIKESで読んでた、ってことを書いたけど、BECKのメンツや音のイメージがニューキーっぽかったわけじゃないんだよね。ニューキーってルックス良い人いなかった記憶があるしw。ただ作品中の、来日公演でバンドに気に入られてVoがステージに上がって、それをきっかけに海外ツアーする、とかそういうエピを、当時「これってニューキーじゃん(^_^;」と思って読んでたってだけで。*1ナパームデスとS.O.B.とかもネタ元かな?、と思ってたけどw。
つっても私が読んでイメージしたコアパンク関連の“伝説”って、私がBECK読んだ頃にはもう知ってる人そんないなかったと思うし、日本のコアはメロコアの時代になってて、「すいません。なんでこれがハードコアに分類されるのか私分かんないです」状態になってた私も音楽自体聞かなくなってたから、別にBECK読んでる層がそういうのを知っているとは思わないけど、自分で理想の音を出してるバンドをイメージして、作中のBECKの音を作り出してそのバンドのファンになってるんだろうな、と思ってたわけです。だからBECKの漫画としてのつまらなさって、読んでる時はそんな気にならないんだよね。なんか好きなバンドの記事を追いかけて一喜一憂する感じっていうか、時々良いライブのシーンがあれば全部チャラになるっていう、現実のバンドに対するような感覚。メンバーのろくでなし加減も、ある意味「それがパンクかなー(^_^;」みたいなw?
「健のコユキBECKを撮る」という事実に対する落ち込み感って、「そういう読む方の思い込みで支えられた漫画の映像化がファンに支持されるわけない」って思うからね。たいしてBECK好きじゃない私ですらそう思うんだから、本気で好きな人はハラワタ煮えくり返ってるって思うよ。だってこのキャストのメンツから見えてくる構造自体が、この漫画で否定されている商業主義のまがいものそのものなんだもん。「“BECK”ってタイトルで“ベル・アーム”*2撮るんかい?」っていうw。
だからまあ、原作支持の層からしたらこの映画は袋だたきにしかならないだろうと私は思うし、その根拠は映画デビルマンの袋だたき状態をリアルタイムで見ていたからでもあるんですが、意外と「映画としてはありかもなー」と思ってきているのは、一応キャストの仕事は信用しているからですね。原作ファンのディス意見もそんな過激なものじゃないのは、商業映画ではあっても、そこまでのやっつけ映画にはならないんじゃないか、という感触があるからなんじゃないかと思うし。音楽映画であることを除けば、平凡な、ある意味並以下の高校生でしかないコユキが、音楽と出会ったことでなにかを生み出す喜びを知る感覚、それを仲間や観客と共有する感動って、健がこの世界に入って知ったものに近いと思うし、その中で描かれる信頼とか絆とかの物語だと思えば、映画としては十分に期待できるだろうと思うんですよ。
それでも引っかかるのはたぶん私が音楽ファンのしっぽをひきずってるせいで、バンドを扱った映画で描かれるのはあくまでもドラマの方だけど、バンドを扱った映画を見る時に、音楽ファンは音楽の空気を期待してしまうし、それはきっと映画で描かれるものじゃない、と思ってしまうせい。私メリケンサック面白かったけどどこかひっかかるのって、そういうことだと思うんだ。クドカンとかたぶんちゃんとパンク好きな人だと思うけど、それでもあそこが限界だっただろうし、それ以上を映画に求めてもしょうがないって思うしね。
だから目下健ファン、映画ファンとしてはそれなり楽しみだけど、ドラマのモチーフ自体がどうにも微妙、という状態。あとさー。どうせ演奏はあてぶりだろうと楽観する向きは多々あるでしょうが、パンクバンドのステージを演技でかっこよくあてぶりするのってかなり大変よ? コユキはVoギターだからあまり動けない分そこは得できるけど。
そういうことを一番恥ずかしがりそうな人が主役だってことが、一番の不安材料なんだよねー(θωθ)~*

*1:イギリスのパンクバンドSNUFFの来日公演の際に、オープニングアクトのひとつだったニューキーが気に入られてアンコールでセッションし、ニューキーがSNUFFのUKツアーに同行するはなしが決まった、という伝説的な“事件”がかつてあった。ちなみに私は当時前座にニューキーが出るからって理由で上京してこのライブ見てます。ただニューキー周辺に人脈があったわけじゃないんで、SNUFFの解散で実現しなかったUKツアーの件でニューキーが相当大変なことになってる、なんてはなしは噂を聞いたのみ(^_^;w。

*2:作中に出てくる商業主義のクソバンドw。