絶対零度〜未解決事件特命捜査〜/#9

http://www.fujitv.co.jp/C-273/index.html
脚本:酒井雅秋 演出:岩田和行
今週もほんと面白かった。前編の中心になった死を前にした小栗(滝藤賢一)の自白にはほぼ触れず、小栗の自白で解決したことになった杉並事件と、捜査中の桜井(上戸彩)と行き会ったことで彼女を拉致した監禁事件という、真犯人の河野(飯田基祐)にとっては予想外だったはずの出来事から再び犯罪を起こした河野の事情と、桜井を助けるために行動する4係を追うことで彼等がどんな人間で桜井をどう思っているかを描写する。相変わらず偶発的出来過ぎな展開だけど、それを理由にこのドラマの出来が悪いというのは違うと思うよ。このドラマって、そういう事件の際に誰がどう思ったか、それを警察だったり被害者だったり被害者家族だったりとかがどう受け止めるものか、そういう気持ちの動きをあるべき論で描くんじゃなく、自分だって過ちを犯して悔恨を抱えた人たちが、それでも前を向こうとすることで描くんだよね。その気持ちの動きに手を貸すのが、最も無力で深沢(丸山智己)に言わせれば「警察の恥さらしだからもう絶対一人で捜査させない」桜井だってことを、みんな感じてるってとこが良いと思う。
この事件って、たまたま事件に気付いた桜井を河野が拉致したこと含めて全部偶発的に起きたものだよね? たまたま装置を作れる小栗に出会った、たまたま事件に関わる本谷の娘に出会った、それはたぶんなにがなんでも復讐を実行しようと思い詰めていたところに都合良く偶然に出会ったわけじゃなく、やり場のない怒りを抱えて誰かを憎まずにはいられなかった人が、折悪しく復讐の機会を得ちゃっただけだと思う。
そういう運命に行き会っちゃったり、事件の解決で犯人が娘を殺した元凶が自分の行動だったって被害者の父親が知るのがこの番組の苦さなんだけど、演出的にこの議員さんだって、特別悪い人じゃなく、浮気相手ではあってもそれなりの気持ちはあった人を心配して、つい権力を笠に着ちゃったんだと思うしさ。ほんとこれ、あのぺらっぺらな人物像のはなしを延々作ってきた火9枠の番組かなあ。
番組は再来週までみたいだけど、そういえば後番組のジョーカーに井上正大君の出演情報出ている。……というところで思い出したけど、今週は永田彬君もちょっと出番あった。