mother/#9「引き裂かれる二人」

http://www.ntv.co.jp/mother/
脚本:坂元裕二 演出:長沼 誠
奈緒松雪泰子)とか葉菜(田中裕子)とか鈴原家の人たちとか、この造形をおはなしだと言ってしまうのは簡単だけど、なにを失ってもなにかを守りたいと思ってしまうことは普通にあるし、大切な人のその思いを、守りたいと思う気持ちも当たり前だと思う。普通それで犯罪までは犯さないとか、身内が犯罪者になることを許しはしないだろうとかは問題が別ね。
そしてそれを見ていた私たちの方でも、それが可能か否かはともかくとして、奈緒と継美(怜南@芦田愛菜)が離れたくないと思ってることは知っているし、その望みがかなうものなら、と思っていたと思うのだ。悲劇を見守りたいとドラマを見ることはあるけど、少なくとも私はこの二人が幸せになることを望んでいるし、この二人の幸せは二人でいることでしかあり得ない。
どこかに悲劇があったとしたら、怜南が道木仁美(尾野真千子)以外のおかあさんを欲しいと思ってしまったことだと思うんだ。見ている人のほとんどが自業自得と言うと思うけど、“普通のおかあさん”でいられなかったことは、仁美自身にとっても悲劇だと思う。たぶん手を貸してくれる人を失わないで済んだり、知り合った男が子持ちの女なんかめんどくさいと相手にしないでくれたり、ささいな巡り合わせであんなことにはならずに済んだんだと思う。それでもこの二人が出会ったことが出会わないことより不幸なはずはないし、お互いを忘れることが幸福なはずがない。
このふたりが不幸なままではなしが終わるんだろうか。