mother/#11(最終話)「ずっと愛してる」

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脚本:坂元裕二 演出:水田伸生
最後まで面白かった。つっこみどころはいろいろあれど、これは私の中で文句なしホームランです。飛んでいくのを口開けて見ている感じ。
だからこそ、あえて感想ってこともないなあ。葉菜(田中裕子)の罪の真相とか、自分の犯した罪を忘れたまま奈緒松雪泰子)が生きてて良いのかとか、思うところはあるけどよけいなことだ。それこそいろんなさじ加減にひっかかるところはあるけど、基本的には自分の受け止めたものがすべて。
ラスト近く好きなものを言い合う奈緒と継美(怜南@芦田愛菜)がお互いを言うけど、奈緒って別に継美が好きだから母親になろうと思ったんじゃないよね。それはたぶん巡り合わせとかそういうので、出会ってしまった以上奈緒には継美を見捨てるという選択肢はなかったんだし、そして“おかあさん”になってしまった以上好きとかどうとかいう以前に奈緒はただ継美が“大事”なんだし、自分の宝物を愛することが幸福でないはずがない。それでいったら仁美(尾野真千子)の不幸は、継美が“大事”じゃなくなったところから始まったんだと思う。だって自分より誰かのことを先に考えて生きるなんて、それが大事じゃなかったらできるわけないじゃん。
たった1日の幸せな記憶があれば生きていけると葉菜が言うように、いつか大人になった継美と出会う喜びの日を思えば奈緒は生きていける。それを子供の継美に「いつか会おう」と言うんじゃなしに、「ずっと継美のおかあさんだから、離れていてもきっと見つける」とだけ言って聞かせる。ラストシーンの意味って、奈緒がずっと継美の母親だってことを継美が信じてたってことだし、奈緒の手紙を読む日を継美が待ってたってことだよね。継美はともかく人間10年くらいであんな老けませんよとか、継美の格好20才にしたら老け過ぎとかそこは突っ込みませんw。
エンドロールじゃクレジットもなかったけど、怜南の不幸の“質”として浦上真人(綾野剛)の造形は大正解だと思うし、綾野君がこのドラマの中でああいう浦上真人だったことが理屈じゃなくうれしい。浦上真人が綾野君以外の誰かだったら、このはなしはこういうはなしに見えなかったと思う。
1時間集中して見ていることが苦痛じゃない番組を、11回作り続けたスタッフも偉い。坂元裕二はイタイ大人だと思うけど、ちゃんとした大人になれない人だから描ける、美しい物語っていうのも絶対あるんだよ。