絶対零度〜未解決事件特命捜査〜/#11(最終話)

脚本:酒井雅秋 演出:村田正典
初回のっぱなでセーラーヴィーナス小松彩夏)を虫けらのように殺し、最終回のっぱなで元基(黄川田将也)を虫けらのように殺すこの番組は、SSPに含むところでもあるのだろうかと見ていて思ったが、最後まで事件としてはアレでも描かれたもので泣ける良いはなしだったなあ。ほんとこの番組はヒットだったよ。二塁打くらいの感じ。
事件の真実が誰にとっても喜ばしいものでないことは簡単に分かって、それでもそこで目をそらさないことで、少なくとも事件は百瀬(黄川田将也)が息子(望@今井悠貴)を思うからこうなったんだってことは分かる。罪を犯して逃げていた父親かも知れないけど、生きている百瀬は罪を償えばまた望と向かい合うことができる。
むしろやりきれないのは、白石(中原丈雄)の信じる同僚だった中馬(北見敏之)が、人を殺し自分の罪を隠すために、部下に罪を犯させ、大切な家族と暮らせなくなることを平気でさせる人間だってことなんだけどさ。その苦さを救うのが、桜井(上戸彩)はじめ4係の人間が、けしてその嘘を許さない人間だからだってことなんだけど。どうでも良いけど、深沢(丸山智己)が塚本(宮迫博之)を好きすぎて、見ていて恥ずかしくなった(^_^;。
描かれた事件はどれも、桜井が偶発的に行き当たる事実でなんとなく解決するでき過ぎたものだったけど、番組の最後で未だ半人前の桜井が「どんな刑事になりたいか」という問いへの答えを見つけない、人の傷を抱えていくことをどう整理するかの答えなんか簡単に見つかるわけがないという当たり前のことを、制作者がちゃんと分かっていると思えることがこの番組を厚みのあるものにしていたと思う。
あとこの番組の良さとして、この番組の描く罪を犯す人の弱さとか踏みにじられる人のやりきれなさを描いた物語の〆で、流れるLOVE PSYCHEDELICOの曲がそれを慰めるものに聞こえるような、とても良い曲だった、っていうのはあると思うよ。
今週も殺される橋本(青木伸輔)が電王のサラ金社長藤代だったり、特撮俳優とかその辺の人との共演が多い人だったり、なんとなく特撮臭いのは、そういう真っ直ぐな気持ちとかそれが踏みにじられる物語に、はまる柄ってその辺なんだってことだと思う。んでもって結局、私はそういうのが好きなんだな、っていうのは思った。
毎週面白かったよ。