それでも、生きてゆく/第5話「居場所を求めて…」

脚本:坂元裕二 演出:永山耕三
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つか今の日本に満島ひかりがいて良かったと思う。満島ひかり以外の誰がやっても、こういう双葉(満島ひかり)にはならん。
洋貴(瑛太)と双葉は同士なんだよね。
洋貴は文哉(風間俊介)を殺すって言うけど、それは結局なぜ亜季が殺されたのか知りたいってことで、なんつうかさ。耕平(田中圭)や響子(大竹しのぶ)にとって亜季を殺したのが文哉だっていうことはそれほど意味のあることじゃないと思うんだ。死んだ達彦(柄本明)もみんな重要なのは亜季を殺したっていうことだけなんだけど、洋貴だけはなぜ文哉がそれをしたのか知りたがっているんだよね。あの時洋貴は文哉も誘おうとしていたし、一緒にビデオを借りにいっていたら文哉も亜季を金槌で殴らなくて済んだはずだし。でも文哉が友達とえっちなビデオを見るより少女を金槌で殴る人間なことには、きっとそれだけの意味があるんだけどさ。
たぶん亜季を殺した時点で、文哉がどんな人間かということはもう誰にとってもたいした問題ではなくなったんだよね。文哉はしょせん子供を殺した少年だし、「なぜ亜季を殺したのか」という言葉は響子にとってそうであるように糾弾の意味しか持たない。その中で双葉と洋貴だけがほんとの意味で「なぜ亜季を殺したのか知りたい」と思っていて、それは「文哉がどんな人間だったか知りたい」ってことなんだよね。このはなしってそもそも、洋貴が妹を殺した人間を知りたいと思う人間じゃなかったら始まらなかったはなしだと思うんだ。
んで洋貴がそんな人間だっていうことが双葉にとって意味を持たないはずはそらないだろうと思うけど(ああいう特殊な事情を共有する相手が、洋貴みたいなほっとけない感じのイケメンだったらそら惚れてまうやろー、というのは別の問題としてw)、あの状況でビラを見つけた双葉が洋貴から隠れちゃう気持ちというのはすごく分かる。
なんつうかさ。文哉が亜季を殺したことを双葉が忘れているわけはないにしても、そもそも双葉は文哉じゃないんだし、この二人の関係ってとっくに「私が少年Aの妹なことを許してください」って種類のものじゃないはずなんだよね。それでもそれは双葉が言って良いことじゃなくて、洋貴と双葉がもっと繋がりたいと思ったら、双葉は「私が少年Aの妹なことを許してください」って誰とも分からない相手に言い続けないといけないんだって双葉は思ってしまったんだと思うんだ,。
ネクタイしめて洋貴を訪ねてくる駿輔(時任三郎)とか双葉を心配する灯里(福田真由子)とか、全編見せ場というはなしであった。あ。でも響子の長台詞はうっかりわた教の谷村美月とか思い出してしまった。いやすごかったけどね。むしろあそこは耕平とか由佳(村川絵梨)のリアクションが良かったな。近年の坂元作品の中で太陽が飛び抜けてひどいのは、ああいう緊張感のあるシーンを作れる役者が出てなかったせいかとはぼんやり思ったけど。あのドラマの種明かしシーンはひどかったもんなあ。
でも亜季を殺す文哉の気持ちだけは理解したいと思えないというか、文哉が双葉に「一緒にいくか」と言った時、うっかりカブトの影ちゃん地獄落ちのシーンとか思い出しちゃったけど。うーん。双葉が白夜の世界に旅立つのはヤだなあ。双葉カムバーック"(ノ_・、)"