ちかえもん

脚本:藤原有紀 演出:梶原登城ほか
毎週見ていて思っていたのは、この幼気なあほぼんとお初が、どんなわけで「この世の名残夜も名残」の恋の手本になるんだろうってことで、「いやあのー。それはキャラ違わない?」っていうね。
んでやっぱその直感は正しく、このふたりはそういうキャラではなかったから、来世を待つんじゃなく無理やんこ生まれ変わって幸せな若夫婦になって、運命に弄ばれた不幸な恋人同士は、美しい恋物語の主人公になったっていうw。
だっておはなしはおはなしなんだから、事実である必要は別にないよ。因業な敵役に陥れられて心中する物語は美しいけれど、敵を忘れて幸福に生きる物語も、美しさには劣るかも知れないけどカタルシスで勝ってるw。
つかふたりがそういう人生を選べたのは万吉という超越的(ぶっとんだ)存在がそういう人生を示したからで、この世のしがらみに従えばキャラが違おうとなんだろうと、徳兵衛は死んで身の証を立てるしかなかったし、お初は恋に殉じるしかなかったんだよね。「この番組で心中はないだろう(^_^;」と思いつつ、種明かしまでほんとに死んだんだと半分思ってたもん。私って素直w。
だからやっぱり、そういうしがらみを受け入れて生きてる人たちにしたら、そういう運命に殉じる物語が恋の手本なんだろうし、でも“それ以外の選択肢”を知っている層はそれじゃ感動できないってことなんじゃないかな。
なんか“痛快時代劇”なんだけど、創作とかやってる人からしたら、ほとんど禅問答みたいなすごいことやってた気がするなあ。そのすごさを成立させたのが万吉だよね。
うまく言えないけどなんだかすごいもん見せてもらいましたって気分。