知らずに口を出してみる

matuokaさんとことリンク先およびそのリンク先をざっと見て思ったんですが。

リンク先の定義でいうなら都内でライブはじめた頃のBuck-Tickにインダストリアル系の影響なんかまるで見えなかったんで、そういう意味ではBuck-Tickがビジュアル系の元祖に当たるというのはあながち間違ってないんでしょうが、やはりなんか違和感が拭えないのは、XとかLunaSeaまで含めても、この辺がビジュアル系に入るというのは違うと思うんですわ。
そもそもBuck-Tickの初期ビジュアルがなぜああだったかというなら、それはその時期のライブハウスシーンでBuck-Tickより人気のあったナゴム系トランス系の存在と無縁じゃないと思うし(私は都民じゃないから体験としての実感はあまりないんですが、Buck-Tickアサイラムの前座だったライブとかあったはずだし)、そもそも白塗りとか髪立てとかは、ナゴム系トランス系の時点では自分をきれいに見せようという意図より海外ゲテモノバンドのパロディ的意味合いの方が強かったと思うんですよ。
そこで「派手なルックスで目立とう」という意図で髪を立てたBuck-Tickのフロントマンがルックスだけで目を引けるほど美人だったことが後のビジュアル系に繋がることは確かだと思いますが、それは直接的な流れじゃないと思うんですね。この時期お客だってライブの時にはダイエースプレーフル活用で髪の毛立ててたわけで、時代の美意識としてサラサラヘアーでステージに立つのはダサい、というのがあった以上、そのもともとの動機は流行の暴走であって、「ルックスをよく見せたい」というものではなかったと思うんです。一方でJapanとかバウハウスという男が化粧をするバンドが、パンクより音楽的にアプローチしたいと思う層には無視できないポジションにいたこの時代、ステージで化粧するのはなにも特別なことじゃなかったし。

私の中でビジュアル系というのは、彼等「元祖ビジュアル系」と呼ばれる人たちの存在を踏まえて、「ああいう格好をすること」自体が目的化したバンドのことですね。そういう意味で初期の黒夢とか、Der ZibetのISSAYのスタイルを露骨に真似ていたLunaSeaのRYUICHIなんかはビジュアル系に入ると思うので、嫌悪感があるわけではないし偏見もないんですけど。でもまあ一緒にしたくないというのが偏見だというならそうでしょうけど。
彼等「元祖ビジュアル系」と呼ばれる人たちがああいう格好をすることで実際より美しく見えることに自覚的でなかったとは思わないんですが、自己愛を含めた個人の有り様や嗜好の結果としてああいうスタイルになった人たちと、自分達と他者を差別化する“手段”として、ああいうスタイルを選んだ人たちを同じには見られないというか。