ひよっこ/〜最終話

脚本:岡田惠和
岡田さんはあんまし私のツボにはまらないことが多い人で、このはなしもそんなに期待していなかったんだけど、すごく面白かった。実さん(沢村一樹)が失踪した辺りからかなあ。
みね子(有村架純)んちって裕福なわけじゃないけど、豊子(藤野涼子)や澄子(松本穂香)が中卒15才で働きに出た時代に、当たり前のように高校には行かせてもらって、卒業後も家にいるつもりだったわけだし、お金のこと以上に家族の愛情に恵まれた子だったよね。そこって実はかなり大きなポイントだと思うんだけど。
島谷君(竹内涼真)が家を捨てるって言った時に、みね子が身を退けたのって、自分自身が父親に捨てられたのかなって思えたり、向島電機が倒産して職や仲間との生活を失うことになったりで、小娘なりに島谷が言ってることがどういうことなのかってことに実感があったからだと思うんだよ。そういうところで、岡田さんがすごく先を見据えてはなしを書いていたんだなと思う。
そういう意味では、島谷君とみね子が付き合い始めた時のヒデ(磯村勇斗)が好意のある女の子と親友が付き合い始めてしまって気持ちを抑える演技をしていたり、ほんとに長い時間をかけて、蒔いた種を刈り入れていくような丁寧なはなしだったなあ。このはなしで流れた時間を、高校卒業間近の女の子が大学卒業するまでの時間と考えるのは、当時の22才が今よりずっと大人であることを求められていただろうことを思えば一緒にはできないだろうけど、みね子の物語としてはヒデと結婚するまでのはなしだったというのは、確かに地味なはなしだったよね。
それを否定的に見る気にならないのは、その地味さが気持ちを丁寧に描くための必要なものだったと思えるからだなあ。ヒデの結婚宣言が「幸せにします」じゃなく「一緒に幸せになります。幸せになる努力をやめません」だったのは、ほんとに大切なことだと思う。ちなみに私は断然ヒデ派でした最初からw。
2クール1時間ドラマとかだったら感想は違うかも知れないけど、毎日15分見るにはほんとに楽しみなドラマだった。終わって寂しいw。