蔵王丸の謎

朱鬼登場編からみょーに陰陽入ってきた響鬼。好きな路線なのだがなんだか乗れないのはなんだろう、と考えるまでもなく、そんなもんは決まっている。今までそういう描写がなかったから、しっくりこないんである。

もともとライダーが“鬼”である時点で、陰陽道のようなものは絡んでくると思っていた。Part2まで作られた「陰陽師」の例もあるし、ハリー・ポッターでメジャーになった“魔法”ほどでなくても、鬼と陰陽道ってセットな感じがあると思う。今の雰囲気は、むしろ放送前に想像したものに近い。一度「そういうはなしじゃないんだ」とリセットしたんでよけいに今の路線に乗れないらしい。
初期にも折り鶴飛ばしたりしてたけど、あれこそ唐突だったもんなあ。

折り鶴飛ばしてることから考えても、“そういう要素”を入れたい気持ちは番組当初からあったんじゃないか。子供にも分かるようにうまく折り込むことができないうちに、どうにもそういうのが入れられない感じに世界が出来上がってしまったんだとも思う。
……と思ったのはザンキさんの本名が“蔵王丸”であることを思い出したからだ。

ザンキさんの師匠として朱鬼が出た時に、「先代の斬鬼さんは?」というわけで設定破綻糾弾祭りがあちこちで見られたが、設定破綻は“先代の斬鬼”の方で、斬鬼はもともとそういう呪術的能力のある鬼の弟子で、生まれもそういう家だったんじゃないか。
そう思えば“蔵王丸”なんぞというふざけた名前もそれなりにしっくりくる。

「師匠の名を引き継ぐのが普通」というが、現在最高齢の裁鬼が38才くらいであることから考えて、鬼が40、50までできる仕事とは考えにくい。仕事の内容から考えてもプロのスポーツ選手のように40才くらいが限界なのだと思うが、一般に生活する分にはなんの不都合もない年だ。引退するのが普通でも、自分はまだまだできると思うのが「鍛えている」人間の普通な思考だと思う。
「まだまだいけると思っていたが、体も利かないしもう無理」という状況でちょうど独り立ち前の弟子がいる斬鬼のような例はむしろ稀で、変身体までいった弟子は早々に独立するのが普通。だからこそ戸田山を独り立ちさせないことを、斬鬼は責められていた。「単独戦闘が普通」という鬼の設定から考えても、変身までできる弟子が戦いをサポートして止めを自分がさす、という引退時の斬鬼の戦闘スタイルは一般的なものではないと思う。
名前の法則から考えても、“師匠の名を引き継ぐ”というパターンは一般的とは思えない。

そもそもトドとザンキさんの歪んだ師弟関係を考えると、ザンキさんの師匠は朱鬼みたいな人の方がしっくるくるんだよな(笑。

妙に引退があっさりだったことから考えて、自分の“鬼”としての資質に懐疑的で、だからこそ禁欲的だったんじゃないかとザンキさんを見ていた私としては、正直今の暴走ザンキさんはとっても好みだ。年内いっぱいの命なのかも知れないけど、予想外の見せ場がきたと喜んで、しっかり見届けたいと思う。