良太郎★利己と利他

事前情報で気を持たせたわりに特典としての旨味は疑問だと思っている電王DVDの未公開映像だが、私は見てて楽しいけどさ、と笑わされるのは未公開シーンの良太郎がこれでもかっつーくらいにイケズで黒いことです。
これヒーローものの主人公の性格じゃないよ。なにがしたかったんだよ、靖子にゃん&伸ちゃん(笑。
かと言ってO.Aされている良太郎の性格に不満なわけじゃなく、私の思ってた良太郎像がそれと違うわけでもない、言ってみれば「そこまでぶっちゃけない方が良いんじゃない?」と笑っちゃうようなことをやってるのが未公開映像集で、まあO.Aしてないのは英断だと申せましょう。日曜朝のヒーローなんだからそこそこ良い子だと思わせといた方が良いよw。

もちろん良太郎が良い子じゃないわけではない。強情で視野の狭いところはあっても、自分にとってどういう存在かということとは無関係に誰も不幸であって欲しくないと当たり前に思う良太郎の性格は十分素直だし、イマジンという誰にも対抗できない敵に対して自分がやらなければならないことへの自覚と責任感もある。
ただ良太郎は運と体が弱いだけで優しくて心の強いヒーローらしいヒーローだ、という意見もそれはそれでしっくりこないのは、優しさも心の強さも良太郎の一面でしかない気がするからだ。
そして“単純に正しいだけの存在ではない”ことが、私のこだわるシラクラヒーローの特徴だからである。正しいだけのヒーローなら、それは30分前の枠に委せておけば良い。

本来ヒーローの戦う理由に一般的な意味での“正しさ”以外が求められる必要はない。悪意で脅かされる人々の生活に対して、単純な怒りや使命感があれば十分なはずだ。
まあ電王においてはイマジンを倒せば壊された街や死んでしまった人も元に戻るので(少なくともピアノマンのエピまではそう認識されていた)なおさら良太郎の守るものの実態が認識しづらい側面はあったのだが、それでもハナの言う「時の運行を守らなきゃ」という言葉を自分の責任と受け止めて、イマジンと戦うと共に関わる人の過去の後悔を癒すために奔走する良太郎は、望ましいヒーローものの主人公だったはずである。
だとしたら元々の脚本にあった三浦や尾崎の心配をうっとおしそうに流したり、ハナの態度を咎めたりする優しいだけでない良太郎は、むしろ良太郎を望ましいヒーローとして円満に存在させないためのさじ加減だったんじゃないかと思うのだ。
それが挿入されなかったのは、あえて入れなくても素直で優しいだけの主人公には見えないタケるんGJ(なのかw?)なんだと思う。

私は良太郎を支持する一方で、ずっと良太郎の動機を利己であると繰り返してきた。だからこそ真司や巧が相手の心を思ってなにもできなくなった時でも、良太郎は動けなくならなかった。
動機が利己であったとしても、少年の単純な善意の行動は正義として成立するんじゃないかというのもまた、電王が描いてきた物語ではある。少なくとも良太郎が優しい子なのは疑いようのない事実だから。
だからこのはなしの結末に向けて、良太郎の利己が正義として成立しなくなった時に良太郎がどうするかを描かなければならないのは当然だろう。そのために避けて通れない通過儀礼として、ほんとなら出会うはずのなかったタロズとの別れの容認があるはずなのだ。

……という時点で、「タロズとの別れなんか見たくないーーー"(ノ_・、)"」より「どうやって落とし前つけるのか見たいーーー」が先にくるここは所詮伸ちゃん萌えブログなんであるw。