人斬り以蔵/司馬遼太郎

人斬り以蔵 (新潮文庫)

人斬り以蔵 (新潮文庫)

去年から積んであったのをこの機会に。はい。スイッチが入りました。
60ページ足らずの短編だから、かかればすぐに読めるんだよね。司馬短編のパターンで、全部説明しちゃう箇条書きみたいなはなしだからある意味読みやすいし。
でもこのタイミングで読んで良かったなあ、と思ったのは、いのうえ歌舞伎のIZOってほとんどこの小説の要素を組み立てたもんなんだよね。人物像とか印象とか全然違うんだけど。脚本家ってすごいな、って思ったよ。舞台の田中信兵衛の役割とか、信兵衛が武市と杯交わしてたとかってのをふくらませたはなしでしょ? 他の創作物にもあるのかも知れないけど。
以蔵の動機を「足軽の身分の劣等感から抜け出るため」とした辺り、ある意味自分でものを考えているとは言えるよね。
龍馬伝の以蔵とはまったく違うけど、これはこれで分かるし面白い以蔵だなあ。今から10年くらいたった後で、以蔵を主人公に劣等感の呪縛を付け焼き刃の理想にすり変える男の映画とか健にやって欲しいw。