タンブリング/FINAL(第11話)

http://www.tbs.co.jp/tumbling
脚本:渡辺 啓、江頭美智留 演出:伊藤礼
番組自体のレベルはランニングホームランってとこだけど、最終回見て思い返せばこの番組は神! なんか息苦しいのに心臓のところが暖かくて軽いよ。すべてがあるべきところに落ち着いたこの気持ちの良さは電王最終回以来w。
なんかもう、見ていて「俺たちは、9人でひとつのカラ高新体操部だ」とかいうセリフが頭をよぎったが、過去エピも残さず拾った最終回のこの出来ってスバラシイ。まさか和洋ゲッチューまで拾ってるなんて。つーかなんて優秀なんだ。ダンス部と軽音部v。
すごい良いのはさあ。新体操部のために木山(大東俊介)が覚悟を決め、新体操部と木山のために航(山本裕典)が覚悟を決めて、その思いを無駄にするなとかあちゃん(大塚寧々)が言うのは二人の覚悟だし大人の正論なんだけど、実際の彼等はその選択に疑問を感じて「これで良いのかな」と呟く。その上での結論は、彼等みんなのためにかけがえのない言葉をくれた航たちに居場所や夢をあきらめさせるわけにはいかないというもので、その彼等の結論に対して、祥子先生(国仲涼子)や教頭(小林すすむ)といった大人が、それを見守るのが大人の役目だって言い切ることだと思うんだ。
しかもそこまで言ったはなしの後で、迷うみんなに柏木(AKIRA)が背中を押す。子供の不安に手を貸すのも大人の役目だってはなしだってことだよね。
ラストで悠太(瀬戸康史)も言ってたし、番組見ててずっと思ってたけど、大会で勝てるかどうかなんて大したことじゃないんだよ。部活動なんかしょせんどこかで終わるんだし、勝ち負けなんかそのゴールを1日延ばしにする程度のことでしかないんだから。部員みんなでひとつの夢を追いかけ、一緒に追いかけた仲間がちゃんと隣にいるなら、それで良いじゃんって思うんだ。
番組の最初からずっと泣いてたし、泣きながらブツブツ突っ込み続けた最高の最終回だった。カラ高新体操部の演技がひとつ決まる度、ずっとテレビの前で拍手し続けたよ。
キャストも脚本も演出も全部良かった。良いもん見せてもらいました。ありがとうと心から言いたい。

総括

んでここまでほめといてなんなんですが、このドラマの人物造形や人間関係のベースである#1は仕方ないとして、ほんと江頭美智留が書いた#2と#9の2編はいらないはなしだったよ。あのはなしのせいでこの番組全体のトーンが相当コースアウトしたのは否めない。
DVDの特典インタビューのはなしなんだけど、あれで土屋(冨浦智嗣)の冨浦君が病気でマネージャーに回る役だからもうあんまり演技できないし、というはなしをしている時に、私自身も不満に感じていたこの番組の暴力要素って、案外省くわけにいかないもんかもな、って思ったのね。
例えば最終的に賀来君とタモト君が3バックできるようにならなくったって、日暮里(賀来賢人)がマネージャーに回るとか、金子(タモト清嵐)が赤羽を止めにいくとかいうはなしにはなりようがない。それぞれおはなしの中でのキャラの役割は、新体操の能力より優先されるから。
今週のはなしで協会会長(杉原美智子)が「恨むなら過去の自分を恨みなさい」って言ってたけど、航たちが不良行為で無駄な時間を過ごしていたのは事実だもん。彼等はその事実に落とし前を付けないといけない。少なくともこのはなしの落としどころとして、航たちは過去の過ちに弁済しないといけない。その弁済の形が、大会に出るために殴られても手は出さない、大切なもののために馬鹿にされても耐えるっていう、#1で悠太に責められたことの最終話での実行だと思うんだ。
ただそれを描くためのトーンとして、赤羽の造形は過剰。絶対病み過ぎ。「寂しかった」で許しちゃならないレベル。航も木山もよく殺されなかったなって思うもん。
んでこの過剰な描写は、結果的にいらないはなしだったとしか思えない#2と#9のとばっちりだとしか私には思えないです。プロデューサー駄目出せよw。
でもそんなこと些細なことだと思えるくらい良い番組だったと思えるのは、キャストの頑張りが目に見えたことはもちろん、このドラマの演出陣がほんと丁寧にキャラみんなの気持ちを拾う見せ方をしていたからです。私にとってはそっちが大きいかも知れない。脚本も概ね良かったし。
なんか本当に、見せてもらえて良かったと思う番組だった。関わったすべての人の未来に幸多かれ。私の楽しみのためにw。