野阿梓/伯林星列(ベルリン・コンステラティオーン)
- 作者: 野阿梓
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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2008年に刊行されたのを去年の11月くらいに買って、一章まで読んで放ってあったのを最初から読みました。まあそこらでリタイアしなければラストまで大丈夫だと思う。読み直しはじめてからはけっこう一気だった。
デビューがハヤカワSF文庫コンテストなのに、その後ほぼ10年の後に本人いわく「801に目覚め」て初期からのファンをドン引きさせている人だけど、私は初期のシリーズより、その後のはなしの方が好きなんだけどね。いやポルノグラフィーとして使えるとかじゃなくて(ポルノにこんな美文はいりませんw)、801に目覚めた後の定番キャラである、身体的に虐げられる故に精神の靭(つよ)さを手に入れていく主人公の方が感情移入できるから。特にこの伯林星列は、扱いとしてW主人公といっていいであろう、叔父の手で苦界に落ちる非力な貴族の美少年・操青と、日本の正義を真摯に求めるが故に政治の表舞台を降りざるを得なかった黒澄をはっきり対比して描いてるんで、構造としては分かりやすいと思う。……まあそれでもいろいろボリューム過剰なんだけどね
このボリュームがこの後のはなしの序章で、この後のはなしも「どれくらいの長さで、一体いつ終わるのか、見当もつかない」「1941年(昭和16年)の可能世界を、どう描くか、というアポリアをクリアしない限り、その世界像を構築することは至難である。」*1と明言されてる以上いつお目にかかれるか分かりませんが、楽しみに待ちたいと思います。
やっぱ個人的には「野阿梓の仕事にハズレなし」だからねー。