ROOKIES〜卒業〜

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面白かったー!
正直番組の温度に見る方を巻き込んで、いろんなアラをごまかす(w)ような作りの番組だっただけに、終了からこれだけの時間がたった今これだけをポンと見せられても、ドラマの時と同じように感情移入できるんだろうかという醒めた気持ちもなくはなかったんだけど、映画が始まればすぐに見ていた頃の温度が戻ってきたし、ストーリーも派手さはないけど彼等の物語に決着をつける、ほんとの意味で2度目の最終回と言って良いものでした。本編ありきだけどこれだけを見て分かりにくいということもない、普遍的な青春ドラマだったと思います。ドラマ映像の使い回しはほとんどなかったし、甲子園に向かう夏のドラマを冬に向かう秋から冬にかけて撮影した彼等の熱意は、できて当然ではあってもやっぱすごいと思う。ドラマが好きだった人は、ぜひその後の彼等を見に劇場まで行ってください。
以下ネタバレにつき隠します。
2時間あまりの映画のほとんどが安仁屋との因縁のある川上のいる笹崎との試合で、しかも川上が甲子園でボロ負けしたエピソードやその背景にはいっさい触れず、その代わりに中学時代の試合で振り逃げ(川上のボールをキャッチャーが落球した間にバッターの安仁屋が走る)で安仁屋が1塁を踏んだ時に川上が鼻で笑ったエピソードを映画オリジナル(だよねー?)で入れていたのは良かったと思う。そりゃあピッチャーの力に圧されてキャッチャーが落球したのにつけ込んで塁に出るなんて、野球で張り合いたかったらすごい屈辱だよねー。
まあそれで安仁屋がせっかくのチャンスをつぶすシーンはあるものの、さほど引っ張らずに安仁屋が甲子園への決意を新たにするシーンとして見せたのは、映画として良いバランスでした。そもそも原作ではこの試合はドラマ本編の目黒川との試合に続く試合だから、ほんとなら若菜も安仁屋も関川も怪我してるはずなんで、今回御子柴が怪我してても「赤星もいるから良いじゃん」くらいの感はあるよね(^_^;。
そういう部員の怪我による焦りとか、原作にあった1年濱中のサボリエピとか試合中に起こしたトラブルとか全部はしょって、怪我で最後の夏をあきらめるか否かの瀬戸際に立つ御子柴の悲しみとわずかな希望や、それを目にしたことで二子玉で野球することに目覚める赤星、二子玉野球部の夢に賭ける気持ちの熱さをドラマ同様、はなしとしては薄いくらいにキャストの演技で見せるやり方はやっぱこのメンツならではの技だと思います。3文節以上しゃべらない連中だしねーw。
相変わらずキャストの演技はみんな申し分なく良いんですが、中でもすごかったのが今回からのメンバー、赤星役の山本裕典もっくん。赤星は原作よりずっと良いキャラになってた。
だってなにがすごいってさー。試合中にメンバーのやってることが把握できずに「なにやってんだあいつ?」みたいに素に戻る時ってあるじゃん。そこで素に戻ってる赤星が、“素のもっくん”じゃなくって“素の赤星”なんだよね。もっくんが緊張を解いてるんじゃなくて、赤星が緊張を解いてるの。赤星って概ね生意気で虚勢を張った、二子玉メンバーのことも馬鹿にしたふうに見せてるキャラなんだけど、ふとした拍子にフッと覗く表情が、人より野球が得意なだけの単なる高1男子。自分に自信があって大事な夢もあって、でも大事な夢だからこそ挫折は怖くて踏み出せない自分を認めることもできない、ある意味コドモの男の子で、そういう子が二子玉野球部で野球をすることで、誰かと夢を分かち合うこと、人の夢を背負うことの楽しさに目覚めていく様子を、すごい数えるほどのシーンで余すことなく見せてました。やっぱもっくんすげーわ。
そういえば大学のシーンで赤星の投げ捨てたタバコがラッキーストライクだったことにさりげなくウケたw。
その点では平っちに憧れて入部したものの、入部以降ほとんど空気で練習サボってるシーンすらなかった濱中の石田卓也君はちょっと可哀想だったかなあ。試合での出番もなかったし、メンバーにどう思われてるかの描写すらなかったもんね。
んで我が佐藤健の岡田はテレビ本編とはひと味違う熱い男になっていました(笑。
なんつうかさ。単純に収録時期の問題というのもなくはないんだと思うけど、子供の割に人は見てるし観察力もあるし頭も良い、でもどうしてもかなえたい夢があって、それに対する思いは理屈じゃない、そういう岡田なんだよね。んでそれって私がドラマの時に、「健がやるんだからそうやれば良いのに」と思ってた岡田なの。だって原作の岡田がどうだろうと子供って本来はそういうものだし、どう見ても子供にしか見えない健がいくらクールぶっても、そんなの大人ぶってるようにしか見えなかったもん。いやまあ終盤にはだいぶ掴めて良くなってたけどね。
んでこれはすっごい見せ場だと思うからさすがにネタバレとはいえ隠すけど、試合終盤の安仁屋の行動っていうのも原作ありドラマのドラマ本編安仁屋からしたらちょっと( ゚д゚)ポカーンっていう「え。ありなのこれ?」っていう安仁屋なんだけど、ドラマで健が作った岡田同様、「良いんだよ。だって市原隼人が演じた安仁屋が安仁屋なんだから。安仁屋や岡田がなにをやろうと、市原君や健が演じれば問題なく繋がるのが役を演じるってことじゃん」と、それは見ていて思ったってことでもない気がするけど、終わってからしみじみと、「良いもの見せてもらった」って気になりましたv。
やっぱ映画じゃ連ドラの密度とは比べ物にならないし、物足りない部分はあったけど、伊武さん校長とか塔子とか、気になる部分はちゃんとおさえた良い完結編でした。メンバーから川藤へのメッセージはお約束だけど泣けたよ!
あとドラマでは今イチ空気だった新庄が、脚本の見せ方もあるとは思うけどすげー存在感あって良かった。某シーンでの頬をつたう一筋の涙は美しかった(笑。←笑うなw。
あと本人にはまったく責任のないことながら近々にクロZERO2をリピ見していた身としては、平っちは今回濱中に嘘をついてる弱みでちょっとおとなしモードだったこともあり、演じる桐谷健太がどうにもクロ2の時雄にかぶってしょうがありませんでした(・∀・)
あと小出君ってプロフ見ても筋トレ系の趣味のある感じしないんだけど、劇中で御子柴のする腕立てとかが、ちゃんと運動部系男子の動き方なんでちょっと感心した。最近某番組の劇中の筋トレシーンで、「この設定の男子がこんな動きじゃダメだろ」と思ったとこだったんで。やっぱ芸能仕事の男子は運動能力も体づくりのうちだと思う(^_^;。
正直ドラマSPで良いのに、と思う内容ではあったけど、こういう特別なドラマの完結に際して、キャストが集まってイベントとか番宣とかやって、っていうのはそれはそれで楽しいんじゃないかなあ。どっちかっていうと、そういうイベントとして関わった人たちが、ドラマを好きな人たちと時間を共有するってことに意味があるんじゃないかとか思う。
でもその一方で、初日第1回、文字どおり老若男女が集まった上映中に映画そっちのけで走り回ってる子供とかいて、集まる人が増えれば増えるほど好きな気持ちの温度は共有できない、というのはしみじみ思ったし、1個人としては私と同じくらい好きな人にしか来て欲しくないです。もちろん私の言うことを聞く義務は誰にもないんですが、思うのは勝手でしょ?
でもまずは「良い最終回だった」と思える映画だったこと、こんなドラマに健が出ていたことに十分満足しています。
そういえば川上をやったのは武田航平君だったけど、ずっと野球帽かぶってたのもあってでんでん分かんなかった。後さー。こいつらが卒業した後、赤星と濱中だけで野球部できんのかなあ。まあ甲子園での結果にまったく触れなかったのはご愛嬌だよね。正直川上のいる笹崎が甲子園行けば普通に優勝できる気がするけど、ニコガクが甲子園で勝てる気しないもん。おまえらタイム長過ぎ、とかタイムすら言わずに試合中断とかいっぱいあったしさ(^_^;。