白洲次郎/第3話「ラスプーチンの涙」

吉田茂原田芳雄の体調不良で2月に2回まで放送したまま、完結編を残していた白洲次郎の完結編。だからってシナリオまで今回あがったわけじゃないだろうけど、前の2話とはかなりトーンの違う描き方だった。まあこのアンビバレンツな人物像を説明しようと思ったら、視点人物を外に置いて語らせる以外はないんだけど、繰り返された「おまえは何者だ」という問いに対して、結局白洲次郎白洲次郎であるとしか言い様のないはなしでありましたうん。
実際この人がこういう生き方をできたのは、この人の生まれや環境が恵まれていたからなのは事実なんだけど、それでも“もっと偉い人”がいるにも関わらず誰の前でも自分の正義を押し通したのは、記者に語ったようにそれが生きてるもんの責任だと思ったからなんだろうけど、これって2話の感想で言ってたことだと思うんで、そういう意味では人物像を描くトーンは変わらなかったってことでしょう。
1話で近衛のおつかいで来て吉田にからかわれていた白洲が、講和条約締結後吉田に引退を進言してお礼を言われるシーンがほんと父親越えって感じで、この二人の関係をこういう家族的な信頼関係だったと説明したのは良かったと思う。
ラストで延々流れた正子のナレーションは著作の「西行」の文章そのままなんだろうけどそれが番組の描いた次郎の人物像そのままで、でもきっと複雑に見える正義の人ってきっと普通にそういうもんなんだろうなって思った。少年時代の白洲とかほんとイタイんだけど、私にとってはこのイタさを描かれていたからこそ分かりやすい人物ではあったな。
キャストもはまっていたし映像もきれいで面白い番組だったと思います。楽しませてもらいました。