透明なゆりかご/〜4話

脚本:安達奈緒子 演出:柴田岳 原作:沖田×華

3話「不機嫌な妊婦」

4話「産科危機」

これ原作がうまくやってると思うのは、普通の絵じゃなくすごく漫画的な絵柄で描くことによって、はなしのリアリティを割り引いてるとこだよね。
たぶん普通にやると、不快っていうより「つらくて読めない」「可哀想で見てられない」って層を生んじゃう内容だと思う。ドラマ見ててあらためてそう思うのは、このドラマって原作の内容を吉野朔実の絵で書いてるみたいなできだと思うから。
今週のはなしとか、原作だと奥さんは双子産んでふたり残して死ぬんだよね。他にも救急車が遅れる、みたいな“より悲惨”ポイントがあるんだけど、そういうのドラマとしてはどっちでも良いような些細な変更だと思うんだ。
できあがったものは「これで充分」な可哀想さで、つらい目にあった人のつらい思いを丁寧に丁寧に描いている。そこで吉野さんを思い出すのは、吉野さんの絵が一番すごかった時期の作品みたいな、その美しさが描かれた悲しみへの手向けであるような描き方をしていると思うから。
たぶんもっと雑でも番組としては成り立つんだよ。でもこの美しさで描くことで、伝わる悲しさがあるんだよね。